トレーダーが最初に使うテクニカル指標であろう移動平均線。
たった1本のラインなのに、相場のトレンド方向や勢いまでが見えてしまう不思議なインジケーターです。
とは言え、選択肢の数も異様に多いのが移動平均線です。
本記事では、トレーダーが迷いやすい「移動平均線の期間」についてまとめます。
移動平均線の種類
まず移動平均線の期間を語る前に決めておかないといけないのが移動平均線の種類です。
移動「平均線」と言っても、実は世の中にはかなり多くの「平均」の計算方法があります。
一番シンプルなのが単純移動平均線(SMA)。
期間内の価格を全部足して、その数で割った最も基本的な移動平均線です。
一般的に移動平均線と言えば単純移動平均線のことを指します。
他に有名なのが指数平滑移動平均線(EMA)。
単純移動平均線は全期間を等しく平均してしまうのに対して、EMAは直近の価格を重視する計算式になっています。
移動平均線の種類は他にも20個以上ありますが、ほとんどのトレーダーがSMAかEMAを使っています。
同じパラメーターのSMAとEMAを一緒に表示して見ましょう。
同じパラメーターであっても、EMAの方が直近の価格に敏感に追従します。
イメージとしては、EMAの方が上手にコーナーリングが出来るのに対して、SMAは少し膨らんでからコーナーリングする感じでしょうか。
一応の経緯としては、SMAを改善させたものがEMAなので、良くも悪くもEMAはSMAよりもスマートに価格に追従する点は覚えておきましょう。
SMAとEMAどっちが良いのか論争
ネットの掲示板でよく論争になっているのが、「SMAとEMAのどっちが優れているのか?」です。
いや、EMAの方が価格に追従するから使えるはずだ!
という論争が繰り広げられていて、いまだに決着が付いていません。
まぁ私としては、パラメーター次第でどっちも挙動が変わるんだから好きな方を使えばいいのになぁ・・・と思う程度です。
SMAもEMAも機能する相場と機能しない相場があります。
事前にSMAが機能する、EMAが機能する、と言ったことは絶対に分からないのであれば、好きな方の移動平均線のパラメーターを固定させたものを使って、「相場を見る際の物差しとして利用する」のが一番です。
そもそも、SMAとEMAのどっちが機能するかなんて議論するくらいなら、自分で検証して納得した方を使うべきですからね。
それが正しいのであれば、EMAよりもT3MA、DEMA、JMAの方が優れていることになりますので。
そして、SMAとEMAのどっちが優れているか論争で戦っていた人たちは、自分の信念を貫いてFX市場で死んでいったのです・・・合唱。
移動平均線の期間
移動平均線の期間として一番使われているのが「20、もしくは21」です。
これは1ヵ月の営業日である「20や21」に由来するもので、どの時間足であっても20や21は有効に機能します。
間違いありません。
そのほかのパラメーターとしては
- 5
- 10
- 50
- 75
- 100
- 200
などが多く用いられます。
多くのトレーダーが利用するということはそれだけ意識されやすいことになります。
パラメーターによって挙動が違う
移動平均線はパラメーターによって動きが変わります。
例えば、SMA5とSMA200を比べてみれば一目瞭然です。
SMA5が橙色、SMA200が赤色です。
過去の参照する期間が短ければ直近の動きに追従しやすくなり、期間が長ければ大まかな流れを示します。
パラメーターが小さければトレンドの切り替わりをいち早く察知できますが、その分だけダマシに合いやすくなります。
パラメーターが大きいと、トレンドの切り替わりの察知は遅くなりますが、その分だけダマシは減ります。
移動平均線を複数表示するならどれ
移動平均線の期間は一長一短です。
だからこそ、複数の期間の移動平均線を表示させて、長期⇒中期⇒短期と相場の流れが分かるようにするやり方が人気です。
このやり方で多く使われているのが、20、50、100の組み合わせです。
3つの移動平均線がパラメーターの順番に並んだ「パーフェクトオーダー」になったらトレンドと判断して、ブレイクや押し目を狙う戦略と非常に相性が良いです。
この他にもGMMAのように12本のEMAを表示するものなど、様々な組み合わせがあります。
移動平均線のパラメーターはどれを使うかは自由ですが、ベストな数値を求めるものではありません。あくまでも相場の状況を見るための「定規」として上手に付き合っていきましょう。