これまでの記事では、バルサラの破産の確率やケリーの公式で、リスクの取り過ぎはトレードを悪い方向に向かわせる事が多いと解説しました。
何度も書きますが、リスクの取り過ぎは、トレードで大損する可能性を飛躍的に高めてくれます。
つまりやってはいけない資金管理とは、リスクを取りすぎる賭け方を指します。
通常の場合、ポジションを取る時から1回のトレードにおける許容リスクを口座資金の10%以上に設定する人はかなり稀でしょう。
しかし、実際に大損する人はそれ以上のリスクをさらしてしまっています。
そういう人たちは自分で知らず知らずのうちに大きなリスクを取ってしまっているのです。
今回は、そういった「知らず知らずのうちに大きなリスクを取ってしまう賭け方」について考えてみたいと思います。
無計画なナンピン
相場をちょっとでもカジったことのある人ならナンピンという言葉をご存知のはずです。
漢字では、「難平」と書きます。
ナンピンとは、ロングした後に価格が下落した場合、ロングした価格よりも下で更に買い、ポジションを増やすやり方です。ショートの場合はその逆です。
例えば、ドル円が100円の時に1万通貨ロングして、90円にまで下げた時に再び1万通貨でさらにロングしてやれば、平均の買値が95円となり、そこから95円よりも上にレートが上昇すれば利益が出ることになります。
このナンピンは、本来なら負けだったトレードを損切らずに済ませる可能性もあるやり方ですが、その反面、損失を更に拡大させる可能性のある手段でもあります。
下手なナンピン素寒貧 という有名な相場格言もあるほどです。
トレード計画にナンピンを用いる場合は、最大でどれだけのポジションを持つのかを前もって決めておきましょう。
「今回だけでいいから助けてください!」って神様に頼みながらポジションいれてる・・・。
無計画なナンピンほど恐いものはないからね。
マーチンゲール法
マーチンゲル法は、負けたら次は倍額で賭けるというやり方で、カジノをはじめとしたギャンブルでは広く知られた賭け方です。
よく利用されやすいのが、ブラックジャックやルーレットのような勝率が50%に近く、勝つと賭け金分のお金がもらえるゲームです。
このマーチンゲール法は、負けが続いても、その後に勝ちが来ればそれまでの損失分を全て回収し、更に利益まで出せる必勝法です。
勝ちが来る時までに資金が残っていればの話ですが・・・。
1回目に負けたら次の賭けでは2倍、それで負けたら次は4倍、そこでも負けたら次は8倍というように、負けが続くたびに賭ける金額は凄まじく大きくなっていくのですから、マーチンゲールで勝つためには無限の資金を用意しておく必要があります。
マーチンゲール法が危険なのはトレードでも同じです。
特にトレードで損切りして熱くなってしまって次のトレードでは倍プッシュ!!というのはトレード経験者なら誰でもあるのではないでしょうか?
こんな賭け方を続けていれば、助かることは多少あっても、結局はリスクの取り過ぎで大損失を出すのがオチです。破産への近道とも言える賭け方です。
ブラックジャックみたいにゲームを続ける度に勝率が変わるゲームなら確かにそうだけど、ルーレットとかトレードみたいなゲームだと、負けが連続すると次のゲームで勝つ確率が上がる、って事はないんだよ。
最悪なのはナンピン&マーチンゲールのコンビ
以上、リスクを取りすぎてしまう可能性のある賭け方について解説しました。
ナンピンでもマーチンゲール方のどちらも、トレーダーを破産に追い込む可能性のある危険な方法ですが、更に最悪なのがこれらを組合せたナンピンマーチンです。
これはその名の通り、倍ロットでナンピンを仕掛けていくやり方です。
確か2010年頃だったと思います。このナンピンマーチン型のEAが大流行したのが・・・。
当時は「リスクを抑えた投資法」とか「負けないEA」などという謳い文句で販売されていました。しかし蓋を開けてみれば大損を出した人たちの怒りのコメントばかり・・・。
EAを制作する側としては、ナンピンマーチンを組み入れるとバックテストの結果が滑らかになって、EAをより魅力的に見せることができたから便利だったのでしょう。
そしてきっと、制作者たちはそのEAを使って取引していなかったと思います・・・。
また、Twitterを見ると、いつも負けている有名な○○暴威さんという方がいます。
この方は口座資金に対してより大きなロットで仕掛け、損切りをせず、最終的にはナンピンを入れて大きく負ける・・・と言うトレードを続けています。
確かに勝つときもありますが、負ける時は悲惨の一言。
そもそもリスクを取りすぎなので、資金のボラが激しいだけで、結果としてお金は増えません。
このようなトレードを見て、賢明な人はリスク管理の重要性を学んでもらえたらと思います。