これまでに、水平線の基本的な考え方として、買い手と売り手の需給関係について解説してきました。
正しい水平線を引くことでチャートの向こう側にいるトレーダー達がどんなことを考えているのか?どんな状況にある人たちがいるのか?といったことが見えてきます。
今回はシリーズ最終回として、ラインがブレイクされるときの状況について考えて行きます。
ラインがブレイクされるときの2つの条件
過去の記事で、レンジからトレンドへ移行する局面と、トレンドが転換する局面について解説しました。
どちらとも特定のラインをブレイクした時に発生する現象であることは共通しています。
しかし、違う点もあります。
それは
- レンジからのトレンド発生は、主にマイナス決済の損切りをきっかけとする
- トレンド転換は利食い決済をきっかけとする
です。
再度それぞれについて考えて行きます。
レンジからトレンドへ移る局面
上の図は、レンジからトレンドへの局面です。
緑色の○のポイントでレジスタンスとして機能していた値を明確に上抜けてトレンド転換となりました。
緑の○で青いラインをブレイクしてトレンド発生となりましたが、トレンドを発生させるきっかけになったのは、それまでに青いライン(レンジ上限)で売っていた人たちが「損切り」をしたからです。
青いラインで売っていた人たちは当然下げる事を期待してショートしていました。
しかし下げません。
なので、青いラインを明確に抜けて来たところで損切り注文を入れて負けを認めるわけです。
トレンド転換の局面
一方で、トレンド転換が起きた上の図の緑の時点ではどうでしょうか。
緑色の○のポイントでレジスタンスとして機能していた「安値を更新する前の高値」を明確に上抜けてトレンド転換となりました。
下落トレンドの序盤(図の左端)で売りポジションを持っていたショーターが緑の○の時点で決済するとき、そのポジションは含み益となっています。
売りポジションの決済によって需給関係のバランスが転換したことには変わりはありませんが、トレンド転換の局面では、利食いによる決済が転換を主導します。
緑の○の時点での売りポジションの決済で、損切りとなるのは、青ラインより下の水準で売っていたプレイヤーに限定されます。
強いトレンドが発生するのは損切り主導のブレイク
これまでに、損切り主導のラインブレイクと利食い主導のラインブレイクを見てきました。
では、どちらのラインブレイクの方がその後、強いトレンドが発生しやすいでしょうか?
答えは、「強いトレンドが発生するのは、損切り主導でトレンドが発生したとき」です。
1本のラインまたは水準を抜けるタイミングで、損切りをするプレーヤーが多ければ多いほど、その後のトレンドは強くなるのです。
含み益が出ている場合にラインをブレイクしてきてもまだ精神的に余裕がありますが、含み損の時にラインを逆方向にブレイクされたら切羽詰まって損切り注文を入れたくなるはずです。
そのため、局面の強さとしては、トレンド転換よりも、レンジブレイクのほうが強いと捉えることになります。
その後どういった動きになりやすいかを予測できますので。
まとめ
今回は1本のラインをブレイクする際に、損切りするプレーヤーが多いのか、利食いするプレーヤーが多いのかを考えるやり方を解説しました。
重要なことは、買い手と売り手のそれぞれのプレーヤーが、どのような思考で、どのように行動したかを意識しながらチャートを見ていくことです。
加えて、どこを越えたらどんなプレーヤーが損切りをするのかを考えることで、買い手と売り手の需給バランスが崩れる局面というのを認識することが可能となります。
色々とイメージしながらチャートを見ると、きっと何かが見えてくるはずです。