外国為替市場について詳しく解説します。
FXトレードをしている人でも、外国為替市場について詳しく知っていない人は多いんじゃないかと思います。
この記事を読めば、とりあえず「FX市場について詳しい人」になれるのでぜひご覧ください。
外国為替取引所という場所はない
東京証券取引所は東京にあります。
ニューヨーク証券取引所はニューヨークにあります。
では、外国為替取引の行われている場所はどこにあるのでしょうか?
実は、為替レートを決める外国為替取引所というものはありません。
あるのはインターバンク市場と呼ばれるもので、世界中の銀行同士が電子取引によってつながっており、そこで24時間取引されているのです。
ここでは、基本的に100万通貨単位の通貨の売買がなされています。
インターバンク市場では、各銀行が様々な通貨ペアの買値と売値を提示しています。
これを相対取引と呼び、同じ時間であっても、銀行によってはレートが違うことがあります。つまり、株価のように唯一のレートがあるわけではなく、通貨の価格に関しては複数のレートが存在するのです。
圧倒的に大きすぎる外国為替市場
外国為替市場は、世界で最も大きな金融市場です。
驚くべき事に一日の取引総額は何と約6兆ドル!!
しかし他の金融市場と比較しないとこれがどれくらい大きいのか分かりにくいですね。
では例を出しましょう。
日本で一番大きな株式市場の東京証券取引所は189億ドル。
外国為替市場は桁が違うのがおわかり頂けると思います。
外国為替市場は世界中で24時間取引されているため、規模が大きくなるのは当然ですが、それでもすごい数字です。1ドル100円と考えても1日に500兆円が動いているわけですから・・・。
2008年のリーマンショック後、日本円が80円台を割った超円高の時に、日銀が何度か介入を行いました。その時には多い時で1回あたり7兆円から8兆円規模の介入だったと言われています。
しかし、これだけ莫大な資金を投入して円売りをしても思ったような結果は得られませんでした。このことからも外国為替市場の規模の大きさがよくわかりますね。
1日5兆ドルの取引はこれらの数字を合計したものになるよ。
一体何が取引されているのか?
外国為替市場で取引されているものは「通貨」です。
外国為替市場では、世界中のあらゆる通貨が取引されています。
通貨の価値は各国の経済状況や金利、需給のバランス等によって常に変動しています。
ここでは、外国為替市場の中でも頻繁に売買される通貨をご紹介します。
通貨名 | シンボル | 愛称 |
---|---|---|
アメリカドル | USD | Buck |
ユーロ | EUR | Fiber |
円 | JPN | Yen |
ポンド | GBP | Cable |
スイスフラン | CHF | Swissy |
カナダドル | CAD | Loonie |
オーストラリアドル | AUD | Aussie |
ニュージーランドドル | NZD | Kiwi |
上に挙げた通貨は「メジャー通貨」と呼ばれています。
この中でも特に取引量の多い通貨である、米ドル、ユーロ、日本円の3つを「世界三大通貨」と呼びます。これらの通貨を発行する国はどこも比較的安定しており、通貨の流通量も多いのが特徴です。
一方で、この表以外の通貨をマイナー通貨と呼びます。
各国の通貨は、シンボルとして3つのアルファベットで表記されます。
これらは実際にFXトレードをする時にも表示されますので、覚えておくとよいでしょう。
まぁ愛称についてはFXをやるだけなら別に覚える必要はないんだけど、オーストラリアドルの「オージー」とかニュージーランドドルの「キウィ」に関しては日本のFXトレーダーもよく使う愛称だから知っておいた方が良いと思うよ。
イギリスにおける取引額が圧倒的!
外国為替市場では、世界の基軸通貨である米ドルが圧倒的に取引額が多いわけですが、それは決してアメリカという国における取引量が多いという意味ではありません。
実は、イギリスの方が取引額は多いのです。
下の表は、ウィキペディアから抜粋ししています。
左側の表によると、イギリスの取引額が占める世界シェアは約43%と圧倒的な金額です。
そして注目すべきなのがシンガポールですね。オフショア金融センターとしてアジアの金融を牽引するようになり、日本よりも取引額が多くなってきています。
これまでは、イギリス、アメリカ、日本の順番で取引額が多かったのですが、新興国の発展によりその順番も変わりつつあります。
右側の表は通貨別の世界シェアですが、こちらはドルが圧倒的なシェアを占めています。
トップ10の中に上で紹介した「メジャー通貨」は全て入っていますが、中国人民元や香港ドルのシェアも上がってきています。
通貨はペアで取引される
外国為替取引は「売り」と「買い」は表裏一体です。
例えば、日本円を米ドルと交換することは、「日本円を売って米ドルを買う」ことに なります。
つまり、FXでトレードする場合は2つの通貨が必要となります。
トレードするときに必要な2つの通貨を「通貨ペア」と呼びます。
このため、米ドルを買って日本円を売りたいときは、「ドル円」の通貨ペアで取引することになります。 世界に沢山通貨がある中で、そこから2つを選んで取引するわけですから、通貨ペアの組み合わせは膨大です。
一般的な日本のFX業者の場合は、基軸通貨であるドルとメジャー通貨によるドルストレート(ユーロドル、ドル円など)と、日本円とメジャー通貨によるクロス円(ユーロ円、ポンド円など)が取引が可能なところが多いです。
これらの通貨ペアは世界各国で頻繁に取引されているので流動性が高く、安心です。
逆にいえば、慣れないうちはこれ以外の通貨ペアで取引するのは避けたほうが良いでしょう。流通量が少なく、政治的にも不安定な国家の通貨は、瞬間的に大きく動くこともあるため、その分だけリスクが高いです。
下の表は、日本のFX業者で多く取扱われている通貨ペアです。
これらの通貨ペアなら、どこのFX業者でも取引できます。
個人トレーダーの取引はブローカーが必要不可欠
では、我々個人がFXトレードをする場合はどうなっているのでしょうか?
資金量に乏しい個人がいきなりインターバンク市場に入ることなんてできません。
そのために必要なのが仲介業者である「ブローカー」です。
一般的にFXトレードにおけるブローカーは「FX業者」と呼ばれており、様々な銀行と提携して我々にFXトレードをする場を提供してくれています。
上の図では、FXトレーダーから注文を受けたFX業者が、提携先である銀行に更に注文を流していることを意味します。
FX業者がいるから個人トレーダーもFX取引できるのは確かだけど、必ずしも僕たちのポジションがインターバンク市場に流れるわけじゃないんだよ。
トレーダーの注文が全部インターバンクに流れるわけでは無い
FX業者は呑んでることも結構ある
しかし、全てのFX業者が、顧客であるトレーダーからの注文全部をインターバンク流しているというわけではありません。株式市場では、ブローカーである証券会社を通じてトレーダーの資金は証券市場の中に入っていくのですが、FXは必ずしもそうなっているわけではないのです。これが「差金決済」であるFX取引の大きな特徴です。
では、FXでは顧客の注文が外国為替市場に届かないということは、どういう意味かと言いますと、「FX業者が顧客の注文の一部をマリーしたり呑んでいる」のです。
FX業者は顧客の注文をこうやって対応している!
FX業者には沢山の顧客から常に注文が届きます。
例えば、同じタイミングで同じロットのドル円の売りと買いの注文が来たとしましょう。業者側からすれば、売りと買いの注文が来たとしてもそれらは相殺できるので、業者としてのリスクはゼロです。
ですから、わざわざインターバンクに流す必要はありません。この顧客の売りと買いをマッチングさせて相殺させることを「マリー」と言います。顧客の注文をマリーすることが出来れば、FX業者は無リスクでスプレッド分を丸々と儲けることが出来るのです。
しかし、注文の全部がマリー出来るわけではありません。
時には買い注文と売り注文に偏りが出る事もあるでしょう。
しっかりとしたFX業者であれば、そんな時にはインターバンクにカバー注文を入れるのですが、実際は注文に偏りが生じてもなかなかカバー注文を入れずに「呑み」をやる業者も多いようです。
顧客の注文を呑むと、FX業者の利益=トレーダーの損失、FX業者の損失=トレーダーの利益という式が成り立ってしまいます。
初心者の内は気にする必要はありませんが、ある程度経験を積んでくると気になってくるポイントですので、知っておいて損はないでしょう。
相対業者はインターバンクのレートを参考にして顧客にレートを提示する。
そして顧客からの注文をマリーさせたり、呑んだり、インターバンクに流したり・・・と色々やっているよ。FX業者の中でこのような仕事をしている人たちを「ディーラー」と呼ぶんだ。
じゃぁさ、FX業者は全部相対取引ってやつなの?
まぁ日本の国内業者のほとんどが相対業者だけどね・・・。
海外のFX業者には顧客からの注文をそのままインターバンクに流すところもあるよ。
こういった業者はNDDと呼ばれていて、一部のトレーダーからは凄く人気が高いんだ。