チャートパターンとは、チャート上に現れる特定のパターンのことです。
パターンは様々な種類が存在し、とあるパターンが出るとそれまでの流れが継続しやすい、もしくは反転しやすい・・・といったことが分かります。
これらをうまくトレードで生かすことができれば、新たなエントリーポイントも見えてきますし、市場参加者が何に注目しているのかも分かるようになります。
しかし、単にチャートパターンを知識として頭に入れたとしても、リアルタイムで動く相場で利用するのは中々難しいです。実際のトレードで生かすためには、知識にプラスして相場をどう見るかという視点がどうしても必要になるからです。
そこでこの記事では、
- トレンド継続と反転を示す主要なチャートパターン
- 実戦でチャートパターンを生かすために欠かせない思考
について解説していきます。
パターンを見る際に大切なこと
チャートパターンについて解説する前に、パターンを見る際に大事なことについてまとめます。
チャートパターンというのは、価格の推移を示したチャートから読み取れる図形です。
それは市場参加者の意図が反映していますから、以下のことに注意しなくてはいけません。
- 他の市場参加者が、明確にチャートパターンを意識できるか
- チャートパターンを形成するに至った相場心理や状況はどんなものか
単に「○○のパターンっぽいなぁ・・・」と思ってエントリーしても勝てるわけがないんです。
また、チャートパターンを読もうとしているとこのような間違いも犯してしまいがちです。
- このチャートパターンだから、絶対にこうなるはずだ(思い込み)
- これは〇〇のチャートパターンに見えなくもない(こじつけ)
チャートをじっと見ていたら「何か」に見えてくることがありますが、より客観的にチャートを見るようにしましょう。
継続と反転のチャートパターン
具体的なチャートパターンをご紹介していきます。
チャートパターンは大きく分けて
- 継続のパターン(トレンド中の一旦の調整の際に出るもの)
- 反転のパターン(トレンド転換が起きる時に出るもの)
2種類があります。
まずは、継続のチャートパターンから見ていきましょう。
継続のチャートパターン
継続のパターンは、トレンド中の調整の際によく出るパターンで、その後、トレンドが再度継続する可能性が高いものです。
ここでは、トレンドの合間に出る次の5種類のチャートパターンを説明していきます。
- レクタングル
- トライアングル
- フラッグ
- ペナント
- ウェッジ
では、一つずつ説明していきましょう。
レクタングル
レクタングルは、トレンドの途中でみられる本の水平ラインの間を上下する値動きです。
基本的には継続のパターンとして考えられていますが、反転の可能性もあるので要注意です。例えば上の画像ではレクタングル内でダブルボトムが出来ています。場合によっては反転上昇する可能性もあります。
形状も明確でしっかりと機能するため、トレードプランを作成しやすいパターンの一つではありますが、後述するトライアングル系と比べるとダマシの確率が高いです。
トライアングル
トライアングルには様々なパターンがありますので、有名なものをご紹介します。
どれもトレンド中の一時的な調整の際に出現するものです。
シンメトリカルトライアングル
シンメトリカルトライアングルは、先がとがった三角形の形状です。
シンメトリカル(対称)の名前の通り、形成されるトライアングルが二等辺三角形となりますが、キレイな形で二等辺三角形を作るのは非常に珍しいです。
一気に動いた後に徐々にボラティリティが縮小して上下し、最終的にトレンド方向にブレイクします。
アセンディングトライアングル
上部が水平の直角三角形のパターンです。
トレンドが発生して大きく上昇後、高値が水平に抑えられているものの、安値を切り上げていくとアセンディングトライアングルのパターンになります。
下は突き上げているのに上は押さえられているということは、それだけ強くエネルギーを貯めている状態です。
そのため、アセンディングトライアングルは、最終的に上方向へブレイクアウトする可能性が高いパターンになります。
高値は一定のラインで止められていながらも、どんどん買い圧力が高まっていますので、ブレイク後は大きく伸びることが多いです。
ディセンディングトライアングル
これは、アセンディングトライアングルの逆のパターンになります。
高値が切り下がっていて、安値が水平に支持されている状況で最終的に下方向へブレイクアウトする可能性が高いパターンです。
安値は一定のラインで止められていながらも、どんどん売り圧力が高まっているのがパターンとしてブレイク後は大きく伸びやすいです。
フラッグ
フラッグは、トレンドの一時的な小休止となっている状況です。トレンドが発生し大きく動いた後、かなりの高確率で出現します。
2本の平行なライン、小さい平行四辺形の形状をしていて、向きはトレンドの方向と逆になります。
例えば、上昇トレンドであれば、右下がりの平行四辺形となります。
この場合、上へブレイクアウトしたら、買いでついていくのがセオリーです。
ペナント
先が尖った三角形の形状です。
上昇トレンド中に見られるペナントであれば、一時的に下げの三角形を作って、それをブレイクした所でエントリーします。
形的にはシンメトリカルトライアングルと似ており、どちらかの判断を付けるのが難しいことが多いのですが、どちらともトレンド継続のパターンであることに変わりはありません。
継続のパターンまとめ
継続のパターンは、大きく動いた後に調整が入ってボラティリティが低下た状態ですが、再度トレンド方向へ向かっていくためのエネルギー充電期間とも言えます。
規則的な値動きの秩序が崩れたら、崩れたほうへついていく意識がとても大切です。
細かいチャートパターンの名称は覚えなくても、その意識さえ持っておけば問題ありません。
反転のチャートパターン
次に反転パターンについて説明していきましょう。
反転パターンの主要なパターンとして、次のつがあります。
- 上昇ウェッジ
- 下降ウェッジ
- Wトップ
- Wボトム
- ヘッドアンドショルダー
- 逆ヘッドアンドショルダー
では、詳しく説明していきます。
上昇ウェッジ
ウェッジはトレンド方向に伸びる三角保合いの一種です。
実質的に高値と安値を切り上げて上昇しているのでトレンド中と判断できるのですが、それまでと比べて明らかに波が小さくなっているのが特徴です。
この状態は、上が詰まっていて明らかにトレンドの勢いが落ちています。
特に十分に上げた後などでは買いの勢力が弱くなっていて、失速しており、高値を更新してもすぐに逆行していたらウェッジと判断できます。
下降ウェッジ
下降ウェッジは上昇ウェッジの逆になります。
高値と安値を切り下げて下降トレンドは継続してはいるのですが、明らかに下が詰まっていて、安値を更新してもすぐに戻して来たらウェッジと判断できます。
ウェッジをブレイクする際に大きな陽線が出るとその信頼性は高まります。
Wトップ
チャートパターンの中では一番有名なパターンですね。
前回の高値付近まで到達するも、ブレイクできずに下落するパターンです。
エントリーポイントとしては押し目のネックラインで、このレートをブレイクしたらショートを仕掛けます。
Wトップはシンプルなのでよく見られるパターンですが、エントリー信頼性を上げるためにはそれまでの流れや他のインジケーターを併用することをお勧めします。
Wボトム
WボトムはWトップの逆のパターンです。
底値圏でよく見られ、反発を示唆します。
エントリーポイントは戻り目のネックラインで、このレートをブレイクしてきたらロングを仕掛けます。
Wトップと同じく頻繁に見られるためダマシもそれなりに多いです。
エントリーの信頼を上げるにはそれまでの流れやインジケーターを併用しましょう。
ヘッドアンドショルダー(三尊)
ヘッドアンドショルダーは、天井圏でよく見られるパターンです。
一度高値を更新した後、押し目を付けて反発するも、その高値まで到達できずに下げてきた・・・というパターンで、最初の押し目のレートを下にブレイクしてきたらエントリーします。
逆ヘッドアンドショルダー(逆三尊)
逆ヘッドアンドショルダーはヘッド&ショルダーの逆パターンで、底値圏でよく見られるパターンです。
一度安値を更新した後、戻り目を付けて反発するも、その安値まで到達できずに上げてきた・・・というパターンで、最初の戻り目のレートを上にブレイクしてきたらエントリーします。
チャートパターンの強さと信頼性について
チャートパターンには、サポートラインやレジスタンスライン、トレンドラインなどと同様に「強さ・信頼性」があります。
ここで言う「強さ・信頼性」というのは、パターンが機能するかどうか。つまりはセオリー通り相場が動いてくれるか?です。
強く信頼性が高いのは「長期時間足のチャートパターン」です。
より多くの市場参加者が注目している時間足のチャートパターンの方がより一層機能するのです。
数あるチャートの中でも日足チャートは、最も多くの人が見ていると言われています。
この日足チャートで誰もが認識できるような明確なチャートパターンが出現すれば、多くの市場参加者に心理的バイアスがかかります。
そうなれば、相場は自然とパターンどおりの動きとなるのです。
「長期足は短期足を支配する」
これは、相場における原理原則ですが、チャートパターンにおいてもこの原則が当てはまります。
チャートパターンの注意点
チャートパターンで注意すべきことがあります。
それは、チャートパターンを学ぶと自然と人は心理的バイアスがかかりやすくなることです。
鳴れていない状態でチャートパターンを見つけると、自分が学んだような値動きになると勝手に思い込んでしまいがちです。
例えば、Wトップは二つの高値を作って下落するパターンですが、ネックラインを割る前に「これはダブルトップになる」と決めつけてエントリーをするとまず失敗します。
また、チャートパターンは色々とありますが、もっと重要なのはそのパターンがどこに現れるのかです。
つまり、単にWトップが出現した事実よりも、反転しそうな場所で反転を示唆するWトップが出現したことの方が重要なのです。Wトップ=反転と短絡的に決め込むと痛い思いをします。
人は見たいように相場を見てしまうもの。これは、トレード歴を重ねてもなかなか解決が難しい課題でもあります。
常に、相場を見る自分判断に「バイアスがかかっていないか?」を自問自答しながらチャートを見ることが大切だと思います。