テクニカル分析を用いたトレード手法には2つのスタイルがあります。
それは裁量トレードとシステムトレードです。
システムトレードの中にも、トレーダーがエントリーサインとエグジットサインを見て手動で取引するものと、コンピューターにプログラミングして自動売買させる2つに分けられます。
裁量トレードには裁量トレードの、システムトレードにはシステムトレードのメリットとデメリットがあります。ここでは、それらについて詳しく見ていきましょう。
自分に合った方を採用しよう。
裁量トレード
しっかりとしたトレード基準を持ちながらも、相場の状況によって臨機応変に対応していくのが裁量トレードです。
一言で「裁量トレード」といっても、「裁量」の幅はかなり広いです。
裁量トレードのメリット
- トレードの技術があれば、システムトレードよりも精度が高いトレードができる
- 何かの事件等の突然の変な値動きにも対応できる
- 相場観を養う事ができる
裁量トレードのデメリット
- ロット数が増えてくると精神的な負担が大きくなる
- 前もって相場の状況を把握し、どう狙うかを考える必要がある
- 精神が崩壊すると、酷いトレードをしてしまう可能性もある
- ポジポジ病になりやすい
裁量トレードはメンタル勝負
裁量トレードの難しいところは、自分自身の精神の変動を上手く対処することでしょう。
デモトレードでは勝てるのに、リアルトレードになると全然勝てない人の原因は精神的なものです。
自分の精神状況が変わってくると、チャートを見る目も変わってきます。
チャートを見る目が変わればトレードそのものも変わってきます。
こういったことを避けるためにも、しっかりとしたトレードの基準と自分の精神状態を客観的に把握することが大切です。
システムトレード
様々インディケーターを利用して、エントリーとエグジットを厳密に、そしてデジタルに決めていくのがシステムトレードです。
このやり方は昔からありましたが、最近ではコンピューターにプログラミングして自動売買させる方法が主流となってきました。
システムトレードは楽に儲けられる!
という宣伝をよく目にしますが、実際のところはどうでしょうか?
メリットとデメリットを考えてみましょう。
システムトレードのメリット
- 厳密なトレードルールが決まっているので楽
- システムを信用できるのなら、大きなロットでトレードしても精神的に楽
- パソコンに張り付いていなくてもよい(自動売買)
システムトレードのデメリット
- 突発的な値動きに対応できない
- ドローダウン(一時的に起こる負けの連続)が避けられない
- コンピューター等のエラーにより途中でトレードが切れる事がある(自動売買)
- システム評価の誤り(カーブフィッティング等)がある
- 相場に対応する力は培われない
シストレも簡単ではない
裁量トレードと比較して融通が利かないのがシステムトレードです。
しかし、トレードの精神的な楽さはかなり大きなメリットと言えるでしょう。
どちらがいいかはトレーダー次第
裁量とシステムではどちらもメリットとデメリットがあります。
そして、どちらにおいても、大きくな利益を出した人がいる一方で、全財産を失った人もいます。
システムトレードの先駆けであるエド・スィコータが、マーケットの魔術師の中で、
システム・トレードは究極的な裁量のトレードなんだ。
運用者は、どれくらいのリスクをとるか、どの市場でトレードするか、そして全体の損益が変わっていくにつれて、どの程度積極的にトレードのロットを増減させるかなど諸々のことを決定しなければならない。このような判断はとても大事な事で、いつトレードするかということよりも重要だと思うときがよくある。
と発言しています。
つまり、「いつエントリーするのかをシステムで判断するか、裁量で判断するかということ以前に自分で決めておくべき重要な事が沢山ある。それらと比べれば裁量とシステムの違いなんて小さい。」と言う意味だと私は解釈しています。
個人的には裁量でもシステムでも自分が好きな方をやればいいと思います。
どちらも同じくらい難しく、大変だと思いますので、どちらを選ぶかはトレーダーの性格と生活スタイル次第でしょう。
システムトレードは楽して儲けられるという風潮がありますが、そんなことは絶対にありません。どのシステムを選ぶのか(作るのか)等のシステムを評価する力、どれだけの資金管理でやっていくのか、調子が悪くなったらいつ中止するのか等のことを決めるのはトレーダー自身です。
裁量トレーダーと同じようにトレードの技術や知識が求められるものであるということを頭に入れておいてください。