テクニカル分析とは、過去の値動きのパターンから相場の状況を読み取り、今後の値動きを予測していく相場分析手段です。
天気予報と同じで完全な予測は不可能ですが、相場の現状を読み解き、将来どんなことが「起こりそうなのか」ということを知るのには非常に役に立ちます。
ここではテクニカル分析を使用する上で必要なモノと前提について解説していきます。
テクニカル分析に必須のツールがチャート
テクニカル分析を行うにあたって、必要不可欠なものがチャートです。
チャートとは、縦軸を価格レート、横軸を時間にしてデータをプロットしていったグラフのことです。
このチャートは、「ローソク足チャート」と呼ばれるもので、日本発祥で、現在では世界的に人気の高いチャートです。
人気が高いといっても、一般的な「グラフ」とはちょっと違うために、初めて見る方には、何を意味しているのかさっぱりわからないと思います。
しかし、一度理解してしまうと、相場の方向、勢い、迷いなど市場参加者の考えの総意がどうなっているのかが、分かってしまう優れものです。
今ではソフトが自動で描画してくれるけど、昔は手書きでやってたんだよ。
テクニカル分析の前提
テクニカル分析を利用するにあたって、前提として理解しておかなくてはいけないことがあります。
それが以下の3つです。
- 市場に関わる情報は、全て価格に反映される
- 歴史は繰り返す
- 市場に価格の記憶は残る
とても大切なことですので、しっかりと頭に入れておいてください。
1.市場に関わる情報は、全て価格に反映される。
市場には様々な情報が溢れています。
それらの情報は全て現在の「価格」に反映されている、とテクニカル分析では考えます。
情報とひとことで言っても、世間一般の人々が知れる情報、現在は金融機関の人だけが知る情報(後になって一般に知れ渡る)、国家レベルの機密情報など様々あり、どこまで価格に反映されるのかについては様々な考え方があります。
突き詰めると頭がこんがらがりますので、ここでは素直に「価格は市場に関わる情報を反映したもの」と考えておきましょう。「価格は全てを織り込む」といった言い方もされますね。
逆に価格が市場の情報を反映していないってことあるの?
ファンダメンタリストの中には得られる情報から適正価格を見つけ出して、現在の価格がそれに見合っていなかったら、「今後適正価格に近づくだろう」と考えてポジションを取ったりする人もいるんだ。
2.歴史は繰り返す。
よく耳にする言葉ですが、これはテクニカル分析でも通用します。
つまりチャートも過去と似たような値動きをする、ということですね。
テクニカル分析では、値動きの「パターン」というものを非常に重要視します。
(有名なパターンにダブルトップやダブルボトムなどがあります。)
テクニカルトレーダーは、「このパターンになったら、次は上げやすい」などの過去に実際によく起こったパターンを参考にしてトレードを仕掛けていきます。
つまり、過去の値動きをよく知ることで、将来の値動きも予測出来るという考え方です。
3.市場に価格の記憶が残る。
市場には以前にレートが止まった価格というものが記憶に残り、その後の値動きに影響を与える事が多々あります。
例えば、リーマンショック後の円高が続いて80円の壁を割った時、ニュースで大きく報道されました。その後、円高は続き戦後最低である75円台になった時は、更に騒がれました。
この様な歴史的な価格というものは、市場参加者の記憶に留まり、その後の相場にも影響を与えます。もし、もう一度ドル円が円高に進み、再び75円台まで下げようとした場合、市場参加者はどう思うでしょうか?
- 「もうこれ以上円高に進むことはないだろう」
- 「今が絶好のドルの買い時」
と思ってドルを買う人達が大勢いると考えられます。
この人たちの多くが、実際に円を売ってドルを買った場合、円安が進行しこれ以上円高には進まない方向へ価格が進むのです。
この様な現象は、歴史的な価格でなくても起こります。
下のチャートはドル円のチャートです。
下の横線を引いたところで、何度もレートが反転しているのがわかるでしょうか?
これは市場参加者が、
- 「前回このレートで止まったから、これ以上下げることはないだろうから買っておこう」
- 「今まで売りのポジションを持っていたけど、そろそろ反転しそうだから決済の買いをいれよう」
という行動の結果、反転したと言えます。
(もちろん必ず反転するとは限りません)
このように、過去に注目を集めた価格は市場参加者に影響を与えるため、将来のレートにも影響を与える事が多いのです。
相場を動かすのは市場参加者だからね。
テクニカル分析は適応幅が広い!
以上がテクニカル分析を行うにあたって、頭に入れておきたい「前提」です。
これらの前提をしっかりと理解しておけば、FXに限らず、株式でも先物でもテクニカル分析を適応させることが出来ます。
そして、価格の推移を分析するということは、市場参加者の考えを理解する事に他なりません。チャートに没頭すると忘れがちですので、時々思い出すと良いでしょう。