今回はレンジブレイクがダマシとなった後、逆方向にブレイクするケースについて解説します。
基本的にブレイクが失敗して逆方向にブレイクする値動きは、とても力が強いです。
今回はレンジからのブレイクについての話になりますが、特定のチャートパターンで逆方向にブレイクする際も同じ事が当てはまります。
原理まで勉強しましょう。
理解がより一層深まります。
ダマシから逆ブレイクについて
「上にブレイクした!」
と思ってロングするもすぐに戻って、逆に上方向にブレイクして呆然とした経験はありませんか?
具体的にはこのような値動きになります。
この動きのポイントは2点あります。
- レジスタンス・サポートを突破し、ブレイクの動きをみせる
- ブレイクがだましに終わり、①と逆方向のサポート・レジスタンスをブレイクする
「一度ブレイクした方向とは逆方向のブレイクする動き」についての名称は色々とありますが、個人的には「ダマシからの逆ブレイク」と呼んでいます。
具体的なエントリータイミングは次々回以降で説明します。今回はこの形だけ覚えていただきたいと思います。売買が偏る強いサインです。
ダマシから逆ブレイクの思考
では、今回も買い手と売り手の思考を読み解いていきましょう。
Iまで上昇して反転するまで
まず、前回同様、レンジ内では、
- 青色のレジスタンスを守り、サポート突破を目論む売り手EFGH
- 赤色のサポートを守り青色のレジスタンス及びI突破を目論む買い手ABCD
- 攻防に決着が着いてから参入したい勢力
の3つの勢力が存在しました。
その後、大口の買い手によって、青色のレジスタンスをHで突破します。
青色のレジスタンスを抜けたことにより②の静観勢力による新規買いが入ってIまで上昇するも、売り手EFGHの損切りを誘発するには至らず、すぐ上の紫色のレジスタンスで大きな売りが入り、再び青色のレジスタンス内に価格が戻ってきます。
ここまでは前回のだましの動きと変わりません。
その後、レンジ内に戻って以降のプレーヤーの思考を大雑把に読み解いていきます。
Hの買いが崩れるまで
- 売り手EFGHは、青色のレジスタンスががすぐ上に存在していることから、売り継続。思惑通りIにて売りが入り、レンジ内に戻ってきたので、建値撤退、または売り継続。
- 買い手ABCDはまだ含み益は出ている。買い継続。押し目買いが入って再度上昇することを期待している。
- レンジ内で静観していた勢力は、Hの買いで青色のレジスタンスを突破した事実を見で新規で買い。Hの買いが崩れるまで買い継続。
- 大口買い手Hは青色のレジスタンスを突破に対して、売り手EFGHの損切りを誘発したかったが、失敗。資金量が大きいため安易に決済できない。押し目買いが入ることを期待。※この局面での最重要プレーヤー。彼らが損切りすると値が大きく崩れる。
- レジスタンスIで参入してきた売り手はHの買いを崩してサポート割れを狙いたい。資金量が大きいため安易に決済できない。売り継続。
Hの買いが崩れた後
- 売り手EFGHは、Hでの大口買いが崩れた為、売り継続に強い動機。
- 買い手ABCDは、Hの買いが、買い継続の大きな動機だったが、覆された。しかしまだ含み益。守りたいサポートも割れていない。微益撤退もしくは買い継続。
- Hより少し高値で参入してきた買い勢力は、Hの買いに対する押し目買いが入らないため損切り。もしくはサポートまで含み損を耐えつつ買い継続。
- Iでの売り手ははHの買いを崩すことに成功。Hの買い勢力の損切りを誘発したい。売り継続。
サポート割れ後
- 売り手EFGHは思惑通りサポート割れ。売り継続に強い動機。
- 買い手ABCDは含み益を全て飛ばし、サポート割れで損切り。
- Hより少し上の買い手は既にポジションを閉じているか、保有していた場合はサポート割れで損切り。
- 大口買い手Hは上へのブレイクが失敗に終わり、かつサポート割れで損切り。
- 最大売り手Iは買い手Hの損切りを誘発することに成功。売り継続に強い動機。
- 新規参入売り手は、サポート割れで下方向ブレイクで新規売り。
まとめ
かなり大雑把ですが、ここまでが逆ブレイクの、各勢力の思考と値動きの流れです。
注目してほしいのは、
「どの水準で買い手が損切りを行うか」
「どこの勢力が損切りしたら、他のプレイヤーの損切りを誘発するか」
という部分です。
上の局面での最重要プレーヤーは明らかにHの大口買い手です。
レジスタンスを突破させるために大きな資金量を買いで投入したのにもかかわらず、ブレイクに失敗した彼らが損切りを行うときには、単にブレイクを発生させるときよりも、遥かに大きい損切りが入ることがわかります。
ブレイクアウトは損切りによって発生しますから、チャートから彼らの行動を読み解いて、彼らが損切りを行う水準に当たりをつければ、大きい値動きが発生しやすいポイントというのが見えてきます。
これを理解するとチャートを見る力がグンとアップしますよ。