あなたは通貨の強弱や相関関係を意識しているでしょうか?
通貨の強弱や相関関係は、マタフやMT4用のインジケーターなどで簡単に知ることができますが、それでも「何がどうなると通貨が強いのか、弱いのか」を理解しておくことは、FX市場で取引する上では欠かせない知識です。
特にトレンドフォローで取引する場合は、「強い通貨と弱い通貨の組み合わせの通貨ペアを見つけて、それでエントリーする」が基本です。
これをするだけで、自分にとって有利な相場でトレードが出来るわけです。
今回の記事では、具体的な通貨の強弱の見極め方、ツールの紹介、そして通貨の強弱が出る要因や出やすい局面について解説していきます。
通貨の強弱を知ろう
質問です。
上のポンド円のチャートでは下降トレンドを形成しています。
このトレンドは以下のどちらが要因で形成されていると言えるでしょうか?
- 円高
- ドル安
- ポンド安
実はこのチャートを見ただけでは①~③のどれが原因かはわかりません。
いずれの場合でもポンド円の下降トレンドを形成する要因になるからです。
どの通貨が強くてどの通貨が弱いかという通貨単体の強弱の情報は、1つの通貨ペアのチャートから理解することはできません。
通貨単体の強い・弱いは、複数の通貨ペアを見て判断しないと分からないのです。
通貨単体の強弱を知る方法
通貨単体の強弱の考え方について解説します。
例えば、USD,GBP,JPYの3通貨の強弱をGBP/USD USD/JPY GBP/JPYの3通貨ペアを用いて求めてみましょう。
現在の各通貨ペアの流れは以下のようになっていたとします。
- GBP/USD:下降トレンド
- USD/JPY:上昇トレンド
- GBP/JPY:下降トレンド
通貨ペアを用いて通貨単体の強弱を求める場合、ポイント制で考えるととてもわかりやすくなります。
各通貨ペアで強い通貨の方に1を足して、弱い方は0を足します(何も足さない)
- 「GBP/USDが下降トレンド中」なので、ドルに+1ポイント。ポンドに+0ポイント
- 「USD/JPYが上昇トレンド中」なので、ドルに+1ポイント、円に+0ポイント
- 「GBP/JPYが下降トレンド中」なので、円に+1ポイント、ポンドに0ポイント
①〜③までのポイントを集計すると、
- USD…2ポイント
- GBP…0ポイント
- JPY…1ポイント
となりました。
以上のポイントを比較して、通貨単体の強弱は「USD>JPY>GBP」であることがわかりました。
これでやっとどの通貨が強くてどの通貨が弱いのかがわかりましたね。
補足
「通貨ペアが上昇中だとどっちの通貨が強いか、弱いかが分からない、混乱する・・・」
と言う人も多いと思います。
これは慣れになるんですが、下のように覚えると簡単です。
例えば、ドル円(USD/JPY)が上昇していたらドルが強いことになります。
(日本のニュース等では円安と言うので混乱しやすいですよね)
他には、ポンドドル(GBP/USD)が下落していたら、右側の通貨が強いわけですから、こちらもドルが強いことになります。
と覚えておきましょう!
質問の回答
では冒頭の質問に戻ります。
このポンド円の下落は、どの円高、ドル安、ポンド安のどの要因で形成されているか考えていきましょう。
とりあえずこのチャートだけを見れば、GBPに+0、JPYに+1となります。
これと同じ時のドル円とポンドドルのチャートを見ていきましょう。
■ドル円(USD/JPY)
ドル円は下降トレンドです。
ですから、USDに+0、円に+1します。
■ポンドドル(GBP/USD)
ポンドドルも下落ですね。
ですから、GBPに+0、USDに+1します。
■結果
結果は
- USD:1ポイント
- JPY:2ポイント
- GBP:0ポイント
となりました。
つまり通貨の強弱はJPY>USD>GBPと言う順番で、答えとしては「ポンド安の要因によってポンド円は下落した」と言えます。
ツールを利用したほうが早い
以上、通貨の今日じゃを見極める方法について解説しました。
・・・が、このやり方では通貨単体の強弱の序列がわかるだけで、どれがどれだけ強いのかまではわかりにくいデメリットがあります。
例えばドルが一番強いということがわかっても、他と比べてどれくらい強いのかまではわかりにくいわけですね。
さらに何より、求めるのが面倒ですね。
もしメジャー8通貨全てを比較するなんてことになったら、通貨ペアの数も増えて大変になります。
ですので、通貨の強弱の概念が理解出来たら、あとはツールに頼りましょう。
通貨の強弱や相関を示してくるツールにはマタフやMT4のインジケーターがあります。
インジケータの方は沢山ありますので、解説を読んで、気になるものを使いましょう。
通貨同士の相関関係を決定付ける要因
通貨と通貨の相関関係について理解した所で、それではその相関関係を引き起こす要因には何があるのか考えてみましょう。
実はこの要因はある程度パターン化しています。
そのパターンをあらかじめ理解しておくことで、いざ強弱のはっきりした値動きが目の前で繰り広げられた時に、その要因がすぐに分かるようになります。
リスクオン・リスクオフ
世界経済や情勢が安定しているのか、もしくは不安定なかによって、相場全体の動きに方向性が出てくる場合があります。
例えば好景気の時であれば、投資家は自身の資産のうち、その多くをリスクのある投資に回します。
このようなリスクを好む全体的な流れを「リスクオン」と呼びます。
反対に不景気やテロ・戦争中など世界情勢に不安感が漂う場合、投資家はリスクを限りなく回避するために、投資を減らします。
このようなリスク回避を優先する全体的な流れを「リスクオフ」と呼びます。
また、通貨自体にもリスクオン時に好まれる通貨と、リスクオフ時に好まれる通貨(安全通貨)が存在します。
メジャー通貨のうち、特に特色が顕著な通貨は以下の通りです。
- リスクのある通貨:英ポンド、豪ドル
- リスク回避(安全)通貨:日本円、スイスフラン
- 「リスクオン時にはリスクのある通貨が買われ安全通貨が売られる。」
- 「リスクオフ時にはリスクのある通貨が売られ安全通貨が買われる。」
といった具合で、明確なリスクオン・リスクオフの際には通貨間に、特に上に挙げたリスクのある通貨と安全通貨の間に明確な逆相関の関係が生まれやすいのです。
主要な金融政策や経済指標の市場予想との乖離
メジャー通貨を発行する主要国の中央銀行が発表する金融政策や、米国雇用統計やGDP、CPI、新規失業保険申請件数など、世界的に注目される金融政策や大きな指標の結果も、相場全体の動きに影響を与える場合があります。
金融政策や経済指標の結果が良い方向に上振れれば、上記のリスクオン時と同様の反応が起こります。逆に結果が悪い方向に下振れればリスクオフ時と同様の反応が起こります。
ここで重要なのは、相場の反応は結果が単にプラスかマイナスかではなく、それが「市場予測とどれくらい乖離しているか」によって決まるということです。
そもそも、為替相場は金融政策や経済指標を含めあらゆる事象に対する世界中のトレーダーたちの予測を反映させたものです。
もしトレーダーたちの予測が+2%であればさらにリスクオン時の値動き傾向が強く出ますし、仮に予測が-2%であれば反対にその分のリスクオフ時の傾向が発表前に現れます。
そのため市場予測が+2%だった場合、結果が+2%であれば予想通りということで相場には大きな変動は見られないはずですし、仮に結果が+の1%であっても予想を裏切られたということで相場にはリスクオフ時の消極的な値動きが現れるのです。
欧州時間の入りなど市場の時間帯の切り替わり時
こちらは要因というより相関関係が明確になりやすい時間ですが、新たに多くのトレーダーが新規参入する市場の時間帯の切り替わり時には相場の動きに方向性が出やすいです。
特に欧州時間が始まる瞬間は最も多くのトレーダーが参加してくるため動きが顕著です。
まとめ
今回は通貨の強弱について解説しました。
通貨単体の強弱を知って、自分の手法に合った通貨ペアを選択することが出来れば、より勝率や利益率を上げられます。
通貨の強弱については、自分でやっても良いですし、ツールに頼るもの良いです。
どれか一つ自分に合ったものを見つけて、それを使いながら毎日のトレードをやっていきましょう!