今回は一目均衡表の中の一つである「遅行スパン」にフォーカスした考察とトレード手法を解説します。
一目均衡表は難解なチャートですが、その中でも遅行スパンは少し異質な存在で、現在のローソク足よりも後ろにプロットされていくという少し変わった特徴があります。
よくよく考えると、現在の足よりも後ろに表示するインジケーターって珍しいですよね。
これを上手く利用すれば、トレードの優位性を得ることも可能です。
遅行スパンとは?
遅行スパンとは、一目均衡表の中の一つです。
一目均衡表は
- 基準線
- 転換線
- 先行スパン1
- 先行スパン2
- 遅行スパン
の5つから構成されています。
この中で最も計算方法がシンプルなのが遅行スパンです。
なんと現在の足の終値を26本前の足にプロットしていくだけというシンプルさ!
それにもかかわらず、一目均衡表を考案した「一目山人」さんは「遅行スパンが一番大事」と言っていたとか・・・。
遅行スパンを見るポイント
遅行スパンを見るための大きなポイントは、当時の価格と現在の価格の比較です。
遅行スパンは26本前の足に現在の価格をプロットしていきますから、26本前の価格と現在の価格が比較しやすくなります。
つまり、遅行スパンが当時の価格よりも上にあれば上昇中、逆に下にあれば下降中と考えます。
実はこれは単純移動平均線が上を向いているか、下を向いているかでトレンドを判断するのと全く同じことです。
MT4での遅行スパンの表示方法
一目均衡表はどのチャートソフトでも表示可能です。
一番メジャーなMT4での遅行スパンの表示方法をご紹介します。
まずはチャートのインジケーター一覧内の「トレンド」から「Ichimoku Kinko Hyo」をクリックします。
設定ウィンドウの「色の設定」で遅行スパン以外の色を「None」にします。
これで遅行スパンだけが表示できます。
遅行スパンの期間の変更方法
一目均衡表はとても個性が強く、あまりパラメーター設定を変更しないことが多いのですが、MT4では変更可能です。
パラメーター項目内の「基準線」の値を変えると、遅行スパンの期間も変わります。
一目均衡表は9、26、52の3つのパラメーターがあります。
遅行スパンは26のみを使用しますが、他のライン等は複数のパラメーターから計算されるものもあります。
これは遅行スパンのパラメーターを10に変えたものです。
より現在の価格に近づいて表示してあることがわかりますね。
遅行スパンの表示だけで勝てるか
遅行スパンは一目均衡表の中でも重要な役割を持つラインですが、個人的には遅行スパンだけで勝つのはなかなか厳しいと思います。
何と言うか、遅行スパンだけで勝てる人は、遅行スパンが無くても勝てるんじゃないか・・・とすら思えます。
遅行スパン自体がちょっと珍しい表示をするインジケーターなので、神秘がかかって見えるのも分かりますが、それ単品だけではちょっと物足らないのです。
しかし、他の指標と組み合わせれば優位性を高めることは間違いないく可能です!
遅行スパンと他のインジケーターを組み合わせて最強手法を作る
遅行スパンと相性の良いインジケーターを組み合わせた手法をご紹介していきます。
雲と遅行スパンの組み合わせ
「雲と遅行スパンの組み合わって、それは一目均衡表やないかーい!!」
という突っ込みを受けるのは分かっています。申し訳ございません。
でも、雲と遅行スパンの相性はやっぱり最強なんです。
注目すべきポイントは
- 価格と雲の位置関係
- 遅行スパンと雲の位置関係
- 価格と遅行スパンの位置関係
この3つです。
ロングエントリーであれば、
- 価格が雲よりも上にあり、雲が陽転中
- 遅行スパンが当時の価格と雲よりも上にある
この二つを満たしつつ、直近の高値を大きなローソク足でブレイクしてきたところでエントリーすると高勝率のエントリーになります。
下のチャートがそのエントリーポイントです。
ショートの場合は逆に
- 価格が雲よりも下にあり、雲が陰転中
- 遅行スパンが当時の価格と雲よりも下にある
という条件を満たして、直近の安値を大きなローソク足でブレイクした所でエントリーすると、高勝率のエントリーになります。
下のチャートがエントリーポイントになります。
ボリンジャーバンドと遅行スパンの組み合わせ
俗に言う「スーパーボリンジャー」と呼ばれる手法です。
ボリンジャーバンドと遅行スパンも相性が良く、トレンドとレンジの見分けがつきやすくて使いやすいのが特徴です。
まずレンジ相場の場合だと、下のチャートのように遅行スパンがボリバンのバンド内を推移します。チャートが分かりにくくなりますが、分かりにくい時はトレードに向かない時と考えましょう。
その一方で、遅行スパンがバンドよりも上を推移する期間が長くなっているところで、ローソク足がボリバンの2σを上抜け、更に遅行スパンも当時のボリバンの2σを上抜けていたらエントリーします。
必然的に勢いのある上昇中でエントリーできます。
ショートの場合は考え方が逆です。
遅行スパンがバンドよりも下を推移している期間が長くなっているところで、ローソク足がボリバンの-2σを下抜け、更に遅行スパンも当時のボリバンの-2σを下抜けていたらエントリーします。
遅行スパンだけだと物足らない感じがありますが、ボリンジャーバンドを加えることで相場の分析がしやすくなりますし、トレンドを捉えやすくなります。
遅行スパンを上手く使おう!
今回は遅行スパンの使い方や考え方、そして遅行スパンを使ったトレード手法についてご紹介しました。
一目均衡表ってひとつひとつが魅力的ですよね。
今では世界的に有名になっているのも理解できます。
また機会があれば一目均衡表を使った手法について紹介していきたいと思いますのでお楽しみに!