この記事ではFXにおける出来高(Volumes)とその使い方について解説します。
チャートを構成するのは時間と価格ですが、これらの加えて出来高も一緒に考えることで、より深く、細かくチャートを見ることができます。
- 出来高って何?
- 出来高の使い方を知りたい!
- もう一つの価格分析方法を知りたい
と言う方にも分かりやすく解説します。
チャート分析力が上がりますのでぜひご覧ください。
出来高とは?
出来高とは、市場の取引量のことをです。
「出来高が多い」とはそれだけ多くの取引があったことを示します。
イメージしてみてください。
魚市場の「せり」で多くの人が値段を付けている状況・・・
どちらも沢山の売買が成立していますよね。
取引量が多いとそれだけ活気があって景気が良い印象ですよね。
FXや株でも多くの取引量があれば、それだけ市場が注目されていて勢いがあることの指標になります。
逆に取引量が少なければ、市場は閑散として賑わいは無く、勢いも乏しくなります。
- 取引量が多い:活発でにぎわっている
- 取引量が少ない:閑古鳥が鳴いている
言ってみれば取引量は市場における血液でもあり、車におけるガソリンでもあります。
相場の動きに加えて取引量も一緒に見ることで、より深く相場分析ができるのです。
他にも、相場の天井付近で出来高の多い十字線なんかが出ると、反転の予兆として考えます。
MT4での出来高(Volume)の表示方法
MT4で出来高を表示させる方法は大きく2つあります。
それぞれ解説していきます。
1.チャートのすぐ下に表示
チャート上を右クリックして「出来高」を選択します。
すると、ローソク足チャートの下部に過去の出来高が出てきます。
2.サブウィンドウに表示
MT4のインディケーターリストの中にある「ボリューム」内の「Volumes」を選択します。
すると、サブウィンドウ部分により詳細のボリュームが表示されます。
緑のラインはひとつ前の足よりも出来高が多かったことを示し、赤色のラインはひとつ前の足よりも出来高が小さかったことを示します。
MT4の出来高はティックボリューム
ここで残念なお知らせがあります。
MT4の出来高は、本当の出来高を示したものではありません。
「え?ちょっと何言ってるか分からない」
と言う人のために最初から解説していきます。
FX市場は巨大な相対取引で成り立つ
FX市場は株式市場のように「証券取引所」のようなものがありません。
例えば東京証券取引所では、そこで上場された企業の株価を証券会社を通じて購入することが出来ます。逆に言えば、東京証券取引所で上場されている株式は、東京証券取引所でないと買えません。
だからこそ、東京証券取引はすべての取引高を把握して発表できるわけですね。
ではFX市場はというと、インターバンク市場と言うものから成り立っています。
インターバンク市場とは、、世界中の銀行が「ドルを○○円で買いますよ」「ドルを○○円なら売りますよ」と価格を提示する中で取引が成立していく「相対取引」をベースとした市場です。
中央取引市場は存在せず、銀行等が自由に取引をする中で形成されるマーケットなので、全取引高を知ることは不可能なのです。
・・・まぁ色々と書きましたが、結論としては
まずはこの事実を知っておいてください。
ティックボリュームとは?
FX市場では正確な取引高がわからない。
ではMT4の出来高は何を示しているのかと言うと「ティックが更新された回数」です。
ティックとは、価格がピコッと動くことです。
つまりティックボリュームとは価格が変動した回数を示しているわけです。
Volumsにマウスのカーソルを当てると、「Value」という表示が出ます。
この数字が、足1本が確定するまでに価格の変動=ティックの更新回数がいくらだったのかを示します。
ティックボリュームは正確な出来高を示すものではなく、簡易的な出来高表示方法です。
しかも、FX業者によってティックボリュームは異なります。
なので信憑性としては株式市場の出来高には程遠いものがあります。
しかし、市場の取引が活発になってFX市場にお金が入れば入るほどティックは多く更新される傾向にはありますので、注目する価値はあると思います。
MT4のティックボリュームの見方と使い所
ティックボリュームの使い所は、一般的な出来高と同じですが、私が考える特に参考になるのはブレイクのポイントです。
ラインをブレイクした時の足の実体が大きく、更にボリュームも上がっていると、ブレイクの確率が上がります。(ダマシとなる確率が下がります。)
確かに出来高単体ではそれほど役には立ちませんが、ローソク足のプライスアクションや意識されやすいラインも一緒に考慮することで、「出来高が参考になるポイント」が見えてきます。
特に目立ったポイントを抜けてきた時、もしくは反発してきた時に、多くのボリュームが伴っていたら、テクニカルの示す方向に動きやすくなります。
この点は知っておいて損のない情報です。
FXの出来高は参考にならない!と言う人もいますが、使い所次第だと思います。
天井と底の判断に使えることも
ボリュームの利用方法としてもう一点ご紹介します。
それが天井と底の見極めです。
相場の天井と底では、これ以上トレンドを進めたい派と逆張り派(決済したい人も含む)で熾烈な戦いになります。
これがボリュームとして刻まれます。
つまり、ボリュームが急上昇したポイントは、天井や底になることが多いのです。
例をご覧ください。
矢印のポイントは急激にボリュームが上がっています。
このような時はとりあえず順張りのエントリーはやめて、ポジションを持っていたら利食いすることをお勧めします。
FX市場の出来高を知る方法
FX市場全体の出来高は分からないと書きましたが、FX市場の中の一部であれば出来高を知ることが出来ます。
あくまでもFX市場の中の一部だけですが、取引が多かった、少なかった等の傾向や推移は分かりますのでご紹介します。
くりっく365のヒストリカルデータベース
東京金融取引所に上場してある「くりっく365」では取引量が毎日公開されています。
以下のリンクをクリックした先にある「最新相場表」のPDFをダウンロードすると、その日の取引量が記載してあります。
あくまでもくりっく365の取引だけの出来高ですが、FXの出来高が分かる数少ない指標の一つです。
金融先物取引業協会の店頭FX月次速報
国内FX業者のほとんどが加盟する金融先物取引業協会のサイトでも、加盟業者の出来高の総量が公開されています。
こちらは一カ月単位の記載なので、月単位の推移を見る際にしか使えませんが、どの通貨ペアの取引量が多いか、そして大まかな推移を知る分には役立ちます。