ロンドンフィックスという言葉を聞いたことがありますか?
多くのトレーダーがFXニュースで「ロンドンフィックスにかけて上昇した」なんて文言が出てきたりしますよね。
では、一体ロンドンフィックスって何なんでしょうか?
実は、ロンドンフィックスの時間は市場参加者の様々な思惑が入り乱れるのです!
今回はロンドンフィックスについて詳しく解説していきます。
ロンドンフィックスとは?
ロンドンフィックスは「WM/ロイター」という民間企業が算出している、銀行の対顧客取引となる為替レートが発表される時間のことです。
ロンドンフィックスは別名ロンドンフィキシングとも呼ばれ、日本の午前9時55分に発表される「仲値」と近いものがあります。
ロンドンフィックスが発表されるのはイギリスの時間で午後4時。
日本時間では夏時間なら24時、冬時間なら1時(25時)の発表となります。
日本の仲値は、東京時間が始まった1時間後に設定されるのに対して、ロンドンフィックスではロンドン時間が終わる時に(ロンドン時間の終値)に決まる点に違いがあります。
ロンドンフィックスでは、その日の為替レートの他にも金のレートなども決まるため、日本の仲値が決まる時と同じく市場参加者の様々な思惑によって大きな動きが発生することもしばしばあります。
月末のロンドンフィックスは要注意
ロンドンフィックスは、平日であれば毎日公表されます。
この中で最も注目されるのが月の最終営業日の「月末ロンドンフィックス」です。
この理由は、大手銀行、ヘッジファンド、大企業、年金機構などは月末ロンドンフィックスのレートで決算を算出するからです。この数字で決算の値が変わりますから、様々な思惑で取引が増加するのです。
2021年2月の最終営業日である26日のロンドンフィックス前後の動きを見てください。
(赤いラインがロンドンフィックスの時間です)
ロンドンフィックスにかけて上昇して、終わったら急落していますよね。
こんな感じで月末のロンドンフィックスはかなり意識されます。
ロンドンフィックスで相場が動く理由
「ロンドンフィックスの時間には相場が動きやすい」と書きましたが、疑問に思いませんか?
『何でイギリス1国の為替レートが決まるだけで相場がそんなに動くんだ?』と。
イギリスのGDPは世界第7位。
かつて世界を制した大英帝国の経済力も今はかなり衰えているはずですよね。
確かにそれは事実なんですが、実は1日の為替取引額のうち4割以上がイギリスで行われているのです。
この表を見れば、イギリスの取引高が圧倒的なのが分かりますよね。
実際にデイトレをやっているトレーダーであれば、相場が一番よく動くのがロンドン市場であることは経験的に知っているはず。
イギリスという国は凋落してしまいましたが、イギリスのロンドン市にある「シティ」と呼ばれる金融街では今でも世界中のお金が集まり、取引されている事実があるんですね。
イギリスの為替取引高が多い理由は、イギリスが世界中に持っている島にあります。
イギリスでこれだけ為替取引高があるということは、それだけロンドンフィックスの数字の影響を受ける人たちも多いということです。
・・・となると、ロンドンフィックス前に相場が動き出すのは理解できますよね?
ロンドンフィックスの傾向
前述の通りロンドンフィックスは冬時間で日本時間午前1時、夏時間で午前0時です。
多くの場合でロンドンフィックスの30分前くらいから相場が動き出す傾向にあります。様々な思惑があるため、動く方向は日によって違います。
例えば、ロンドンフィックス前に発表されることの多いアメリカの重要指標で相場が大きく動いた後は、ロンドンフィックスでの動きが小さくなる傾向はあります。
同じくロンドンフィックス1時間前のニューヨークオプションカットで動いた後も、動きは乏しいです。
逆に、ロンドン~ニューヨーク時間の動きが比較的静かだった場合は、ロンドンフィックス前から動き出すことが多いです。
ロンドンフィックス時の戦略
初心者なら東京時間の「仲値」の動きを狙う方が勝ちやすいです。仲値トレードはドル円の上昇を狙うもので、動きも比較的穏やかな中でトレードできるため低リスクです。
その一方でロンドンフィックスは圧倒的に取引量が多く、様々な思惑が絡まるため動きを予測しづらく、タイミングが外れたら思わぬ損失を招くことにも繋がります。
ポジション相場に合わせて上手く対応できる上級者であれば、ボラティリティの拡大しやすいロンドンフィックスは一つの稼ぎ時になるかもしれませんが、この時間帯は大人(大ロットで取引する人たち)が牙を剥きだして戦っているところですので、下手に手を出すのは止めましょう。
自信のない方は、ロンドンフィックス前にはポジションをクローズしたほうが良いと思います。
ニューヨークオプションカットについては以下の記事をご覧ください。