過去の任意の期間の平均を示す移動平均線自体は非常にシンプルですが、その解釈の仕方は様々です。
ここではまず、移動平均線の示す客観的な意味について考えましょう。
わかりやすくするために、単純移動平均線について解説していきます。
ローソク足の実体が、移動平均線よりも上にある、下にある
下のチャートではローソク足チャートにSMA20を表示させています。
ローソク足はSMA20を跨いで推移していますが、どういった意味があるのでしょうか?
これは、過去のローソク足20本のレートの平均よりも、今現在のレートの方が高い価格で売買されているという意味になります。
過去のローソク足20本が確定した時点で買いを入れていれば、トータルで見ると含み益が出ているという状態です。
逆にローソク足の実体が、移動平均線よりも下にある場合では、ショートをしていた場合に含み益が出ている状態であると言えます。
移動平均線が上を向いている、下を向いている
上のチャートを見てください。
SMA20がずっと下向きの下降トレンドが続いていましたが、大きな大陽線が出現してからは上を向き始めました。
なぜ上を向いたのでしょうか?
勢いが弱くなったのは分かるけど、それって曖昧な言い方じゃないか?
もっと明確な根拠があるはず。
結論から言うと、21本前のローソク足よりも現在の足のレートの方が上にあれば、MA20は上を向きます。下のチャートで言えば、赤い縦線を入れた足が、MAの向きが変わった大陽線ポイントから21本前の足になります。
単純移動平均線は、現在から過去の任意の期間を遡って平均を出します。
ローソク足が確定して次の足に進むにつれて、それまで計算式に入る値も入れ替わります。
SMA20の場合、今現在の足から20本前までのデータの平均が移動平均として計算されます。
そして次の足に切り替わると、前の足で見た20本前の足は21本前の足となり、移動平均の計算の中に組み入れらません。その代わりに新しい足のデータが入ります。
データが更新されるたびに過去の古いデータは押し出されるイメージです。
ですので、まとめると以下のようになります。
現在のレート > n+1本前の足のレート(終値)
n期間の移動平均線が下を向く
現在のレート < n+1本前の足のレート(終値)
SMA20が上昇を続けるというのは、常に21本前のローソク足の終値を超えた値でローソク足が確定し続けているという意味になるのです。
この事実を知っていれば、移動平均線の向きが変わったり、大きく角度が変わったときに何が起こっているのかが理論的にもよく分かるはずです。
これまでは何となくでしか見てなかったよ。