「トレンドライン=難しくて使いづらい」
と思っている人、実は多いのが現状です。
トレンドラインは、サポート・レジスタンスラインと同様に多くのトレーダーから愛用されている分析手段です。しかし、トレンドラインは水平線と比べると重要性と客観性は下がります。
このような特徴があるので、人によっては水平線は使うけど、トレンドラインは使わない人もいます。
それでもトレンドラインはチャート分析の基本として重要です。
これまでに解説したダウ理論におけるトレンドの定義を踏まえて考えていきましょう!
その理由はね、人によってやり方が全然違うんだよ。トレンドラインは。クマ君はさ、「本当のトレンドラインの引き方を教えます!」みたいな広告見たことない?
メールボックスの「迷惑メール」の中にもそんなメールを見た気がする。
だけど、相場を完全に予測できるトレンドラインの引き方は存在しない。
これだけは確かだ。
でも、基本を押さえたら役立つこともあるから、知っておいて損はないよ。
トレンドラインとは?
トレンドラインとは、水平線とは異なり、相場のトレンド方向に従って斜めに引かれるラインのことです。
- 安値と安値を結んだ右肩上がりのラインを上昇トレンドライン
- 高値と高値を結んだ右肩下がりのラインを下降トレンドライン
と呼びます。
トレンドラインも水平線と同じくサポレジラインとして機能することが多く、トレンドラインに引きつけてからロング、トレンドラインを割ったからブレイクを狙う、といった使い方をされます。
トレンドラインから分かる事
トレンドラインを引いてわかることは大きく2つあります。
どこが注目されやすいか?ということがわかる
多くトレーダーが注目するポイントでは、激しい売り買いの攻防が見られます。
この攻防が終わると、どちらかに大きく動くことがよくあります。
特に上昇トレンド中なら、トレンドライン付近までレートが下げてくると売り買いの攻防が激しくなります。そして、買いの勢力が上回ると一気にレートが上がることもよくあります。
このような「注目されやすいポイント・反転しやすいポイント」を狙ってトレードするのがトレードの基本と言えるでしょう。
トレンドの「勢い」がわかる」
上に出した上昇トレンドと下降トレンドのチャートで、相場に「勢い」があるのはどちらでしょうか?
これはトレンドラインの角度を見ればわかります。
角度が急なほど相場に勢いがあると考えるので、上昇トレンドのチャートの方が勢いがあると判断します。
簡単に言えば、勢いの強いトレンドほど疲れやすいということです。
ですので、トレンドラインの信頼性が高いのは、何度もそのラインでレートが反転しており、なおかつ角度が緩やかなラインと言えます。
もちろん過去に何度もラインをブレイクしているからと言って、永遠にそのラインが昨日し続けることはありません。ラインはいつかは必ずブレイクされる運命にあります。
この考え方はラインを利用する上で非常に大切ですので、頭の片隅に入れておいてください。
トレンドラインの引き方
上昇トレンドのトレンドライン
ダウ理論では、上昇トレンドは高値と安値を切り上げている状態のことを言います。
ですから、上昇トレンドラインを引く場合は、高値と安値を切り上げている状態を確認して、安値と安値を結んでいくことになります。
安値だけが右肩上がりの場合はトレンドラインとはならない
そのため、下の図のように安値は切り上げるけど高値は切り上げていない場合はトレンドラインを引く事はできません。
僕は安値が切り上がってたらどれでもトレンドラインを引いてたよ。
安値を切り上げて、高値を更新したところでラインが引ける
上昇トレンドラインは、下の画像のように初動の上昇から押し目を作って、高値を超えてきたところで初めて引く事ができます。
一般的には、トレンドラインの角度が急なほどブレイクされやすく、逆に角度が緩やかなほどブレイクされにくいとされています。つまり、勢いのあるトレンドはそれだけ勢いを失いやすく、ゆっくりと続くトレンドは長続きしやすいとも言えますね。
また、水平線と同様に何度もローソク足がぶつかって反転するラインはそれだけ意識されていると言えます。トレンドラインも始点も合わせて3回以上の反転が認められるラインであれば効果があると考えていいでしょう。
下降トレンドのトレンドライン
ダウ理論では、下降トレンドは高値と安値を切り下げている状態のことを言います。
ですから、下降トレンドラインを引く場合は、高値と安値を切り下げていることを確認して、高値と高値を結んでいくことになります。
高値だけが右肩下がりの場合はトレンドラインとはならない
上昇トレンドラインと同じく、下降トレンドラインも高値と安値を切り下げている状態の時のみトレンドラインを引く事ができます。
ですので、下の画像のように高値は切り下げているけど、安値は切り下げていない場合はトレンドラインを引く事はできません。
高値を切り下げて、安値を更新したところでラインが引ける
これも上昇トレンドラインと同じですが、初動の下落から戻り目を作って、安値を再度更新したところで初めて下降トレンドラインを引く事ができます。
リアルタイムトレンドライン分析
これまでの解説でトレンドラインの引き方が分かったと思います。
それでは、先の見えないチャートを使ってトレンドラインを引く練習をしていきましょう。
一緒に考えていきましょう。
例1
それでは下のチャートをご覧ください。
このチャートの右半分にトレンドラインを引いてください。
トレンドラインは下のようになります。
安値と高値を切り上げているところを見つけて、安値と安値を結ぶのが上昇トレンドラインでしたね。これは難しくないと思います。
ではその後の動きをご覧ください。
なんと、トレンドラインを割って来ました。
このトレンドラインを割った場合はどう判断すべきなのでしょうか?
上昇トレンドが崩れたと判断するのはあくまでも直近の高値を更新できず、安値も切り下げてきた場合だよ。
実際に高値安値を分かりやすくするために波を描いてみましょう。
ってことは、トレンドラインをブレイクしたけど上昇トレンドは続いているって事?
トレンドラインを割ったからと言って、安易にトレンドが終わったと決めつけてはいけません。
トレンドが崩れたと考えるのは、安値を切り下げてきたときです。
それではその後の動きを見てみましょう。
それまでのトレンドライン(一度破られたので破線にしています)を割ったものの、そこから再上昇して高値を更新しました。
この場合はどうすればいいのでしょうか?
どうすりゃいいんだよ?
答えは簡単。新たにトレンドラインを引いてやればいいのです。
次に引くトレンドラインは、一番安値からトレンドラインをブレイクして、高値を更新するまでの期間で最も安いレートを結びます。
これが新たなトレンドラインになります。
っていうことは、前に引いたトレンドラインは消してもいいの?
例えば、それまでのサポートとして機能していたトレンドラインが破られると、次はレジスタンスになることもあるからね。
その後の動きをご覧ください。
新しいトレンドラインでもしっかりと反発していることが分かります。
そして、前に引いたトレンドラインにヒットしたポイントでは逆に売られていますよね。
例1のまとめ
- トレンドラインを割ってしまってもトレンド終了とはならない
- トレンドラインを割っても、そこから高値を更新することがある。この時は、新たに角度の低いトレンドラインを引く。
例2
下のチャートをご覧ください。
高値を安値を切り上げていますので、上昇トレンドラインが引けますね。
このようなラインになります。
赤い点線は新たな安値を付ける前に引けたトレンドラインですが、安値をブレイクし、更には高値もブレイクしたため機能しないトレンドラインとなっています。
そして、この時点でトレンドラインとして成立するのは太い赤線です。
その後の動きです。
赤いトレンドラインを引いてから勢いが増しました。
高値を更新してからはトレンドラインまで下げないレベルの押しが発生して、そこから再上昇して高値を更新しています。
一番右端の勢いに乗り切れてないみたいな・・・
こういった場合は、トレンドラインの中にトレンドラインを引いてやればいいんだ
先ほどのチャートに波を描くと、確かにトレンドラインの上で押し目を作って高値を更新していることが分かります。
このような場合は、トレンドラインとローソク足の間に新たにトレンドラインを引いてやるのです。
こうすることで現状に即したラインを引くことができます。
その後のチャートです。
新しく引かれたトレンドラインでしっかりと反発していることが分かります。
トレンドは時に加速することがあります。
このよう場合は、新たに角度の強いトレンドラインを描いてやることで、現状の動きに即したトレンドを把握することが出来るようになります。
ちなみに、このトレンドラインをピッチフォークと呼びます。
例2のまとめ
- トレンドライン引いても更にトレンドが加速することがある。
- トレンドが加速した場合は、トレンドラインとローソク足の間に新たなトレンドラインを引く
トレンドラインは難しい・・・
今回は基礎的なトレンドラインの引き方を解説しました。
しかし、トレンドラインの引き方は色々な説があり、人によってかなり異なります。
そのため「市場参加者の考えを知る」という意味では水平線のサポレジラインと比べると重要性や信頼性は下がります。
これがトレンドラインを使わない人も多い理由の一つです。
実際にトレンドラインを使うか使わないかはその人次第ですが、とりあえず基本的な使い方やトレンドラインの引き方は知っておいて損は無いでしょう。