前回の記事の水平線の基本的な考え方の応用編です。
今回も買い手と売り手の需給関係について考えていこうと思います。
買い手と売り手の需給関係を意識してチャートを読み解いていくと、一見ランダムに動いているように見えるチャートが、特定の局面では根拠を持って非常にロジカルに動いていることが分かります。
前回はもっとも需給関係が把握しやすいレンジからトレンドに移行する局面を見ていきましたが、今回はトレンド~トレンド転換について需給関係を意識しながら考えていきましょう。
トレンドの転換を見る
ここからはトレンド転換の局面を見ていきましょう。
図で表すと以下のようになります。
左から順を追って見ていきましょう。
下降トレンドで高値と安値を切り下げ続ける
まずは前半のAの部分、下降トレンドの箇所です。
この局面では既に買い手と売り手の需給関係に偏りが出ています。
すなわち、売り手>買い手です。
売り手の勢力が買い手の勢力を上回っているためレートは下落し続け、結果として下落トレンド(高値と安値を切り下げる)となっています。
底値を付けてレンジ
中盤移行のBを見ていきましょう。
下落トレンドが続き、最安値をつけました。
ここから買い手と売り手の攻防がチャート上に現れてきます。
ここまで下落トレンドが続いてきましたから現在は売り手が優勢です。そのため、さらなるトレンドの継続を狙って、売り手は参加してきます。
しかし、最安値をつけてからは売り手の勢いが弱まってきました。底が固いのです。
この状況についてまとめると以下の通りです。
- トレンドが継続するためには、青のラインを上抜ける前に赤の最安値ラインを更新しなくてはいけない。
- トレンドが転換するためには、赤のラインを割らずに、青のラインを上抜ける必要がある。
以上のことから、「青ラインを死守したい売り手」と「赤ラインを死守したい買い手」の攻防が発生することになります。
トレンド転換
その後、緑の丸のポイントで青ラインを超えました。下落トレンドの終了です。
この時点で売り手は先ほどの攻防に敗北したことになりますから、決済の買いをいれます。
もっと上の水準から売っていた売り手も、「ダウ理論におけるトレンド終了のサイン」が明確に現れたため、売りポジションの決済を行うことになります。
ここで売り手と買い手の攻防に決着がついたのです。
青ラインを超えたことで、売り手がポジションを決済したことにより、需給関係は買い手が優勢になっています。
実際のチャートで確認
それでは実際のチャートで確認してみましょう。
まずチャート左側は明確なダウントレンドです。
そして安値を付けてからトレンドの勢いが弱まり、時には下げながらも地味に上昇をしています。
この時点では、赤いラインを割ってダウントレンドを継続されたい売り手と、青いラインを上抜けてトレンドを終了させたい買い手が激しく戦っていることになります。
決着が付いたのが青いラインを上抜けたポイントです。
ここでは窓が開いたため様々な注文が入り乱れて数日間にかけて売り買いの攻防が続きましたが、しばらくして決着が付いて上昇して行きました。
水平線は需給関係を読むためのモノ
今回はトレンド相場からトレンドが転換するまでの需給関係について解説しました。
「ラインの引き方は分かっているけど、全然勝てない」
と思っている人の多くが、ラインから「何を読み取らないといけないのか?」という知識が欠落しています。
もちろん読み取るべき事は市場参加者の需給関係です。
「このラインはどういった人たちが意識しているのか?」
といったことを常に意識しないと、ライントレードは成立しないのです。
ラインを使う際は市場参加者の関係と需給関係を頭に入れながらチャートを見てくださいね。