ピボットは日足の情報から潜在的なサポートとレジスタンスとなる価格を示すインジケーターです。
サポートや レジスタンスなどの基準点を利用することで、市場に参入するタイミング、ストップを置くタイミング、利益を取るタイミングを判断することができます。
ピボットはラインのみなので、移動平均線やRSIと比較するとあまり人気はありませんが、海外では非常に多くのトレーダーが利用しています。
また、ピボットは他のテクニカルインジケーターとの相性も抜群です。
本記事では、ピボットの基本から具体的な使い方、統計情報、手法についてまとめて解説していきます。
ピボットとは
ピボットとは、主に日足のデータを利用して導かれる価格で、チャートに表示される中央の価格はピボットポイントと呼ばれ、その上下にS1~S3、R1~R3のサポレジラインが表示されます。
基本的に日足の値を利用して、当日に意識されやすい価格を導きます。
移動平均やオシレーターと異なり、ピボット・ポイントは静的で、一日中同じ価格で固定されますので、トレーダーはこの水準を使って事前に取引計画を立てることができます。
ピボットポイントについて
中央のピボット・ポイント(PP、白いライン)は、その日の価格が上下に振れる価格を示します。
イメージとしては、回転軸や蝶番のようにそれを中心して価格が上昇するような感じです。
そもそもピボットとは回転軸という意味合いですので、コンセプトと名前が非常にマッチしています。
ピボット・ポイントは、ほぼすべての取引商品に適用できますが、特にFX市場では、非常に有用であることが証明されています。
外国為替市場は流動性が高く、取引量も非常に多いため、ピボット・ポイントが生み出すサポートやレジスタンスの効果が非常に高いです。
サポレジライン
ピボットポイントの上下にはS1~S3、R1~R3というサポレジラインが表示されます。
これはピボットポイントを利用して算出されるもので、その日のサポレジ、そしてブレイクアウトの水準として利用できます。
ピボットの計算について
ピボットは主に前日の日足のデータを利用します。
実はとてもシンプルな計算になっています。
(ここで示す高値、安値、終値は、全て前日の日足の値になります。)
ピボットポイントは前日の高値、安値、終値の平均値になります。
- R1 = 2 x ピボットポイント ⁺ 安値
- R2 = ピボットポイント ⁺ (高値 - 安値)
- R3 = ピボットポイント ⁺ 2(高値 - 安値)
- S1 = 2 x ピボットポイント - 高値
- S2 = ピボットポイント - (高値 - 安値)
- S3 = ピボットポイント - 2(高値 - 安値)
サポレジラインはピボットポイントと高値や安値を利用して求められます。
複雑なように見えますが、実はシンプルです。
ピボットの統計
ピボットはサポレジラインを示すインジケーターですが、計算で求められる点に大きな利点があります。
なぜなら、裁量判断無しに求められるので、統計処理しやすいからです。
以下はユーロドルのピボットの統計です。
- 当日の安値は44%の確率でS1を下回る
- 当日の安値は17%の確率でS2を下回る
- 当日の安値は3%の確率でS3を下回る
- 当日の高値は42%の確率でR1を上回る
- 当日の高値は17%の確率でR2を上回る
- 当日の高値は3%の確率でR3を上回る
この情報はトレーダーにとって有用でです。
もし44%の確率でS1を下回ることが分かっていれば、上昇する自信があるのであれば、S1の下にストップを置けば高勝率のトレードができます。
さらに、その日の高値がR1を上回る確率は42%に過ぎないことが分かっているため、R1のすぐ下で利食いすることもできます。
この統計の威力は、前もって潜在的なサポートとレジスタンスを知り、ストップとリミットを置くための基準点になり得ることです
しかし、これらは確率であり、確実なものではないことを理解してきましょう。
ピボットを表示するMT4インジケーターについて
MT4にはピボットを表示するインジケーターが最初から入っていません。
そのため、カスタムインジケーターを追加する必要があります。
ピボット表示のインジケーターについては、以下のサイト様でたくさん紹介してあるので、こちらをご覧ください。
ピボットとフィボナッチ・リトレースメントの比較
ピボット・ポイントとフィボナッチ・リトレースメントは、どちらも水平線を引いて潜在的な支持線と抵抗線を示します。
フィボナッチは、高値と安値のような2つの重要な価格ポイントの間に引くことができるので便利ですが、どこを高値・安値と判断するかに裁量判断が求められます。
一方で、ピボットは前日の高値、安値、終値という決まった数字に基づくため、完全に無裁量でサポレジラインを求めることができます。
この違いは大きく、完全に裁量判断無しでサポレジラインを求めて統計を取りたい人にとってはピボットが有効です。
また、どちらにしても絶対はありません。
あくまでも相場が行き過ぎる価格を知る指標として使いましょう。
ピボットを利用した手法
ピボットは前日の値を利用して、当日の値は変わらない先行指標です。
これはピボットの大きな特徴です。
価格はピボットポイントを中心に上下し、SやRで反転しやすい性質を持ちます。
これを利用した逆張り手法をご紹介していきます。
必要なものはピボットとRSI(14)です。
簡単に言えば、価格が反転しやすいSやR付近でRSIのダイバージェンスが発生したら逆張りで入ります。
ロングエントリーの例
ロングエントリーする場合は、日足の流れが上昇中であることが必要です。
その中で、当日の価格がS1~S3付近でRSIとのダイバージェンスを確認したらロングエントリーします。
RSIのダイバージェンスについては、まずは最初の安値がRSIの30を割ることが必須です。
そして、再度この安値を割った時はRSIが前の安値の時のRSIよりも小さければエントリーになります。
利食いについてはピボットポイント、もしくはS1で行います。
ショートエントリーの例
ショートエントリーする場合は、日足の流れが下降であることが必要です。
その中で、当日の価格がR1~R3付近でRSIとのダイバージェンスを確認したらショートエントリーします。
RSIのダイバージェンスについては、まずは最初の高値がRSIの70を抜けることが必須です。
そして、再度価格が高値を抜けた時はRSIが前の高値の時のRSIよりも小さければエントリーになります。
利食いについてはピボットポイント、もしくはR1で行います。
まとめ
ピボットは前日の価格から導き出される先行指標です。
移動平均線等とは違って値は固定されますので、目線も固定して使いやすいのが大きな特徴です。
色々な手法と組み合わせやすいですし、相場環境分析にも使えるのでお勧めですよ。