チャートを使ってトレードしていると気づきにくいのですが、世の中には
と主張する人たちが一定数います。
テクニカル分析派からすると「正気ですか?」と思いたくなるんですが、世界は様々な思想の人たちがいるのです。
今回は、テクニカル分析否定派の意見を紹介しつつ、個人的に思うテクニカル分析の利点について書きたいと思います。
アンチテクニカル分析派の主張
テクニカル分析否定派の主張にはこんなものがあります。
- そもそも相場の動きは完全にランダムなので相場の分析そのものが不要
- 相場はファンダメンタルズで動くのでテクニカルなんて無意味なオカルト
- 過去の動きから将来の動きが分かるわけがない
自分を含め、テクニカル派の人は「そんなわけねぇーだろ?」と思うところはあるでしょうけど、とりあえず意味を解説していきます。
そもそも相場の動きは完全にランダムなので相場の分析そのものが不要
と主張するランダムウォーカーの意見です。
ランダムウォーカーにとって、テクニカルもファンダメンタルズも分析すること自体が無意味です。
何故なら、相場は完全にランダムだから。
その根拠として挙げられるのが効率的市場仮説。
効率的市場仮説とは、市場が成熟するほど価格の値動きは効率的になり、結果としてランダムな値動きになるというものです。
市場がランダムであるならば、ランダムウォーカーにとってはチャートを使って相場を予測しようとするのは、水晶玉を見ながら思いつきであれこれ言う占い師と同じなのです。
だからこそ、彼らは時間とともに価格が値上がりしやすいインデックス株の投資を推奨します。
確かに相場はランダム性のある動きがありますが、全部が全部ランダムと言うわけではありません。
あくまでも市場が効率的に作用している場合の話ですが、現状はまだ効率的とは言えません。
相場はファンダメンタルズで動くのでテクニカルなんて無意味なオカルト
と言うファンダメンタルズ派に多い主張です。
相場はあくまでもファンダメンタルズで動くというのが彼らの考えです。
私はこの考えは正しいと思っています。
ただし、あくまでも長期的(半年以上)のスパンでの話です。
それに、ファンダメンタルズも過去のファンダメンタルズとその後の相場の動きの事例を参考にする点については、テクニカルと違いはありません。
また、よくあるパターンとして、テクニカル的にレンジ相場が続いている中で、大きな材料が出てブレイクするなんてことはよくあります。
これはファンダメンタルズだけでは説明できません。
テクニカル的に他のトレーダーの逆指値注文を巻き込んで・・・といった理屈を考えることで、より深く相場の動きを考察できるのです。
過去の動きから将来の動きが分かるわけがない
特定のパターンで相場が予測できるわけではない、と言う主張です。
これもテクニカル派の私も全部間違っているとは言えないところがポイントですね。
(チャート分析をしている人の中にも、この考えを持っている人はいます。)
現実問題として、過去の相場で特定のパターンを検証した結果、優位性が全くなかった・・・なんて言うことが多く報告されていたりしますので・・・。
ただし、様々な仮説を検証して、本当に効果があるかどうかが確認できるのもテクニカル分析の大きなメリットだと思います。
テクニカル分析を使う意義
テクニカル分析は意味がない!
と主張する人もいますが、テクニカルトレーダーとしては、やはりテクニカル分析は優秀で使えると思います。
私が考える理由は3つあります。
- 市場を定量的に分析できる
- 注文が集まりそうなところが分かる
- どの銘柄・シンボルでも使える
この3つがあるからこそ、テクニカル分析は優秀なんです。
市場を定量的に分析できる
簡単に言えば、バックテストして手法を検証できるという意味です。
過去の相場の値動きを利用して、様々なアイディアを分析して数値化できるのがテクニカル分析の一番のメリットだと思います。
これがファンダメンタルズ分析だとこうはいきません。
雇用統計の数字が10万人ではなく30万人だったらどうだっただろうか?なんて分析しようにもできませんよね。
もし、バックテスト結果がダメだったとしても、他のやり方で検証すれば良いだけです。
テクニカル否定派は「バックテストで勝ててもフォワードで勝てるかどうか分からない!」と主張します。
これはもちろんその通りなのですが、様々なシンボルや時間足で検証することで手法の堅牢さや弱点、ドローダウンが分かりますので、手法のパフォーマンスが前もって分かるのは非常に有利です。
注文が集まりそうなところが分かる
チャートには、市場参加者の心理が色濃く反映されます。
ローソク足1本を見ても、実体の大きさ、ヒゲの長さから、その時の市場の流れと市場参加者の迷いや総意が見えてくるものなのです。
ローソク足が沢山並んだチャートを見れば、どのレートに沢山注文が集まっていそうなのか、どのレートをブレイクしたら損切りを巻き込んだブレイクアウトが見込めるか?と言ったことが見えるようになります。
これが分かるか分からないかでは、トレードの質そのものが違ってくるはずです。
どの銘柄・シンボルでも使える
一度自分なりのチャートの読み方を確立すれば、株でも商品先物でも同じようにチャート分析ができます。
ファンダメンタルズだとこうはいきませんよね?
ファンダメンタルズだと、それぞれの銘柄に合わせて必要な情報をピックアップしてまとめて、分析して・・・といったプロセスが必要なのですが、テクニカルはそんなことは不要なのです。
テクニカル分析の限界点
私はこの記事でテクニカル分析の有用性について訴えていますが、当然ながらテクニカル分析にも限界があります。
その点について述べておく必要はあると思います。
そもそもテクニカル分析は、「過去の値動き」を参考にして将来の値動きを予測・考察するものです。
相場の値動きは、トレーダーの思いや考えが反映されているからこそ、将来も似たような値動きをする、というのがテクニカルの前提です。
しかし、相場はその時々によって違います。
過去の動きを絶対に再現するわけではありません。
テクニカル分析でわかるのはあくまでも統計的な数字です。
次の値動きをピタリと当てられるものではない点には注意してください。
また、テクニカル分析はファンダメンタルズによって簡単に覆されることもしばしばあります。
例えば下降トレンドで戻り売りのポイントも、指標によっていとも簡単に上にブレイクされたりするわけです。
このような現実も受け止めた上でテクニカルを使用すべきです。
チャート無しではトレードできないのが今の常識
1970年代よりも前の時代は、テクニカル分析は一種のオカルトと考えられていたそうです。
日本でもこんな相場格言があります。
罫線とはチャートのことです。
意味は以下の通りです。
当時は今のように簡単にチャートを表示することはできなかったので、グラフ用紙にローソク足を書いていました。そのため沢山の銘柄の分析はできませんでした。
また、バックテストをして検証するというよりは、経験則からくる感覚の強いチャート分析だったということもあったでしょう。
でも、今はパソコンを使えば、様々な銘柄・時間軸のチャート分析ができます。
バックテストで統計的に有意かどうかも検証できます。
チャートを使ってトレードをしない方が勿体ないと個人的には思うんですが、どうでしょう?
ただし、テクニカルをオカルトにしたらダメ
テクニカル分析は非常に有用です。
しかし、場合によっては害になることもあります。
それはどんな場合かというと、「本当は使えないのに使えると信じ込んでトレードで利用する」ことです。
言ってみればトータルで勝てないEAを回し続けるようなものです。
EAであれば、過去のバックテストで優位性が明確に見えます。
でも、裁量トレードの場合だとバックテストに時間がかかります。人によってはバックテストすら知らず、直近のチャートを見て「この手法使えるわ!」と思ってすぐに実戦に移ったりするのです。
これでは勝てません。
いくら自分で「勝てる手法だ!」と信じていたとしても、損失を重ねるだけになるのです。
テクニカルはあくまでも相場を定量化して分析しやすくするものです。
定量化せず、分析もせず、単に感覚だけで使っていたら、それはオカルトに過ぎません。
この点をしっかりと頭に入れてテクニカルを使っていきましょう!
そしてテクニカルに使われないように注意してください。