今回は、トレーダーと「脳」の関係性について考えていきます。
「トレードはメンタル」と言われることも多いですが、確かにトレードにおいてメンタルはとても大事です。
特に損切りした時なんかは、イライラしたり、怒ったり、不安を感じたり・・・とネガティブな感情が生まれやすいですよね。
- こんな時、我々の脳はどうなっているんでしょうか?
- また、勝ち組トレーダーと負け組トレーダーでは脳に違いがあるのでしょうか?
メンタルは脳にあります。
脳科学を知ることで、トレーダーにとって大事な部分が何なのかも見えてきます。
トレードと脳科学で優位性をつかむ
ポール・D・マクリーンという方が著書「3つの脳の進化」で、人間には「3つの脳」が存在する「三位一体脳モデル」説を主張しています。
3つの脳とは以下のものです。
- 爬虫類脳(脳幹) ⇒ 「本能・反射」
- 哺乳類原脳(大脳辺縁系) ⇒ 「情動」
- 新哺乳類脳(大脳新皮質) ⇒ 「理性」
爬虫類脳は原始的で、哺乳類原脳がその上に合って感情を司り、さらにその上に新哺乳類脳が理性を司る・・・・というモデルです。
1.爬虫類脳(脳幹)が本能を司る
爬虫類脳が原始的な脳になります。
爬虫類脳は、脳幹と呼ばれる左脳と右脳を結ぶ連絡通路の部分になります。
wikipediaでは以下のような説明になっています。
脳幹は多種多様な神経核から構成されており、その機能も多様であり、この小さな部分に多数の生命維持機能を含む。
- 多数の脳神経が出入りし、多数の神経核が存在する。
- 自律神経機能中枢が存在する。
- 意識と覚醒に重要な神経回路があるとされる。網様体の項を参照。
- 脊髄から視床へ上行する感覚神経路が存在する。
- 上位中枢から脊髄に下降する運動神経路が存在する。
- 姿勢反射の中枢である。
脳幹でトレードに直接関係ある働きとしては、交感神経や副交感神経といった自律神経機能の司令塔としての役割です。
交感神経と副交感神経の関係性は以下の通りです。
- 交感神経が活発になる ⇒ ヒトを活動させる(目が覚める)
- 副交感神経が活発になる ⇒ ヒトを休ませる(眠くなる)
交感神経が活発になった場合
交感神経が活発になると心臓の鼓動が早くなり、興奮・覚醒状態になります。
いざという時にパッと動けるような状態ですね。
これは狩猟をやるのであれば、非常に良い状態なのですが、冷静にじっと考えることには向きません。
そもそも興奮状態になると攻撃的になりますので、トレードではポジポジ病になったり・・・と積極的に無謀なリスクを取ってしまいがちになります。
副交感神経が活発になった場合
副交感神経有利になると、落ち着いた状態になります。
リラックスしているるため、冷静に物事を考えることができます。
ただし、活発になりすぎると眠くなって頭がボーっとしてしまいます。
ある程度均衡がとれた状態がベストと言えます。
2.大脳辺縁系が感情を司る
大脳辺縁系は、大脳の奥深くに存在する感情を司る脳です。
- 「うれしい」などの「喜び」
- 「むかつく、いらいらする」などの「怒り」
- 「悲しい、つらい」などの「哀しさ」
- 「快適、愉快」などの「楽しさ」
といった「喜怒哀楽」に関係する脳です。
安定してトレードするにおいて一番大事な感情を司るのが大脳辺縁系です。
その中でも特に大事なのは、恐怖を感じる扁桃体(へんとうたい)です。
偏桃体は男女差がある
偏桃体は男女差があります。
女性は活性化しやすく、男性は活性化しにくいのです。
女性の場合は相場が暴落すると偏桃体が活性化して強を感じ、トレードを控える傾向があります。
一方で男性の場合は、女性と比べると扁桃体があまり活性化しません。
そのため、ネガティブな感情があっても立ち直りやすく、損を出した後でも強気にトレードをし続けてしまうという傾向が強いです。
男性の方がリスクを取りやすいと言われていますが、この偏桃体がそうさせているのかもしれませんね。
この男女の違いは、力の強い男が狩りを行い、女が子供を育てていた狩猟時代の生活スタイルがまだ脳に残っているからです。
男はリスクを取ってでも獲物を狩らないといけない、女は子供を守るためにリスクを取ってはいけない。これが強く影響しているのだと思います。
アルコールの影響で偏桃体の機能が鈍くなる
アルコール依存がある人の脳では、扁桃体の働きが鈍くなり、代わりに前頭前皮質が活性化します。
その結果、感情処理機能が低下します。
そのため、トレードにおいてアルコールはネガティブ感情に過剰に反応してしまい、余計な恐怖を感じる可能性があります。
3.大脳新皮質が「理性」を司る
大脳新皮質は「合理的、分析的、思考、言語、理性」などに関わる脳です。
人間が進化する過程でもっとも発達した部分で、大脳辺縁系を覆うように大脳新皮質があります。
大脳新皮質の役割は「感情の暴走」を抑制し、「より合理的な行動」をもたらすように働きます。
他にもトレード方法を検証してそれが現実的に通用するのか考えたり、トレードプランを考えたりするのが大脳新皮質です。簡単に言えば、「じっくりと考える脳」です。
大脳新皮質の機能が弱っているとトレードで勝つのは厳しいです。
また、大脳新皮質の前部にある前頭葉は、人間の思考や理性を制御しています。
人間が感情を抑え理性的に行動できるのも、前頭葉の働きがあるからで、前頭葉の機能に問題が生ずると
- 我慢できなくなる
- 己の感情のまま行動する
- 言葉がしゃべれなくなる
- 運動機能に問題がおこる
など、大きな問題になってしまいます。
前頭葉を鍛える方法
前頭葉は鍛えられます。
鍛えることで、集中力、認識力、注意力、思考力がアップし、ワーキングメモリとなる作業中記憶領域がアップします。
鍛える方法決して難しくありません。
以下をできる限り習慣化しましょう。
- 有酸素運動をする
- 音読をする
- 人と喋る
- 新しいことを始める・勉強する
- 瞑想する
- todoリストを作る
- いつもよりも変化を加えていく
出来る限り投資脳を作るためにも蒸気を実践していきましょう