今回はブレイクアウトシステムの中でも一番シンプルで有名なドンチャンブレイクアウトについて解説します。
ドンチャンブレイクアウトは、正にブレイクアウトの元祖で「○○期間の高値をブレイクしたらロングエントリー」という超シンプルなルールですが、これが侮れません。
過去にはリチャード・デニスとウィリアム・エッグハートの主催する投資集団タートルズがブレイクアウトシステムを使って数百億円以上の利益を上げた事実もあります。
現在の相場で有効かどうかは細かいパラメーター次第なところもありますが、トレード手法の「基本のき」であるドンチャンブレイクアウトシステムについて深く知りましょう!
かつては有効に機能する相場もあったみたいだけど、現在の相場だと勝つのは難しいかも。
でも、フィルタリングすればきっと優位性は得られるはずだよ。
ドンチャン・ブレイクアウトシステムとは?
ドンチャン・ブレイクアウトシステムとは、その名前の通りアメリカ人のリチャード・ドンチャン(1905~1993)の考案したトレードシステムです。
『株価が安くなったから買うのではなく、株価が上がっているから買う』をコンセプトにした相場の勢い(モメンタム)を取り入れた積極的なトレンドフォロー手法です。
時代的にもチャートからシステマチックにトレードをすることを始めた第一人者ではないかな?と思われます。そういった意味で考えると、テクニカルトレード立役者の一人と言えますね。
ドンチャン・ブレイクアウトシステムのルール
ドンチャン・ブレイクアウトシステムでは、過去40期間と20期間の高値と安値の推移を示す「ドンチャン・チャネル(ハイローバンド)」を利用します。
- 水色の実線:過去40期間の高値
- 水色の点線:過去20期間の高値
- ピンク色の実線:過去40期間の安値
- ピンク色の点線:過去20期間の安値
を示しています。
このチャートを使って、以下の条件になったらエントリーします。
- 終値が過去の40期間の高値(水色の実線)を上にブレイクしたらロング
- 終値が過去の20期間の安値(ピンク色の点線)を下にブレイクしたら決済
ローソク足がバンドの上や下をブレイクしてきたらエントリーです。
エントリーポイントの例です。
でも、ルール的に取りこぼしも多そうだし、ダマシもありそうじゃない?
ただ、バブル級のビッグトレンドが発生したら超すごいことになるよ。
ドンチャン・ブレイクアウトシステムが機能した例としてビットコインがあります。
ビットコインは2020年夏ごろから息を吹き返したかのように爆上げでしていますが、ドンチャン・ブレイクアウトシステムなら爆上げのほとんどをゲットできています。
実際の所、ドンチャンブレイクアウトシステムは、外国為替よりも長期的なトレンドが発生しやすい株価・コモディティや仮想通貨の方で機能しやすい一面があります。
FX市場は短期間で価格が倍や半分になることはほぼありませんが、他の投資対象では10倍以上になることもよくあります。そのような銘柄ではドンチャンブレイクアウトシステムは異様な強さを見せるのです。
タートルブレイクアウトシステム
ドンチャン・ブレイクアウトシステムを応用したものに、タートルブレイクアウトシステムがあります。
マーケットの魔術師にも出てくるリチャード・デニスとウィリアム・エッグハートの二人が主催する投資集団「タートルズ」が利用していた手法です。
タートルズのメンバーのほとんどが投資初心者だったのにも関わらず、4年間で現在の価格で200億円以上の利益を叩き出しました。
当時は手法については一般非公開だったこともあって、タートルズの手法は神秘的なモノ扱いされていたそうですが、実は超が付くほどドシンプルな手法だったのです!
- 終値が過去の20期間の高値をブレイクしたらロング
- 終値が過去の10期間の安値をブレイクしたら決済
ドンチャン・ブレイクアウトシステムのパラメーターを半分にしただけです。
これに、ATRを利用した資金管理戦略を取り入れることで、銘柄やボラティリティに関わらず1回のトレードのリスクを一定にして、着実に利益を積み上げていったのです!
長期用のブレイクアウトルール
タートルブレイクアウトルールは中期が有名ですが、実は長期用のルールもあります。
- 終値が過去の55期間の高値をブレイクしたらロング
- 終値が過去の20期間の安値をブレイクしたら決済
こっちの方がより長期の相場で取引することになります。
ドンチャン・ブレイクやタートルは現在のFX市場でも使える?
ドンチャン・ブレイクやタートルルールを始めとした○○期間の高値や安値ブレイクで仕掛ける手法はかなり歴史があるシステムになります。
「歴史がある」と言えば聞こえは良いですが、その分だけ使い古されているわけですから、現在の市場ではその優位性もかなり薄まっていると考えたほうが良いです。
実際にタートルブレイクアウトルールで過去のFX市場で検証した書籍があります。
こちらの本を見ると、日足で長期のタートルブレイクアウトルールの場合は通用するようです。
しかし、大きな利益になるというよりは資産運用向けで1年に1回出るか出ないかレベルのトレンドをがっつりと取るようなスタイルです。
それでも利益を出せているのは優秀だと言えますね。
フィルターが重要
過去のチャートを見る限り、大きなブレイクは発生していることは昔と変わっていません。
ただ、ブレイクには至らずダマシとなるケースも多く、如何にしてダマシを避けるか?これがブレイクアウト手法の一番重要なポイントにもなります。
エントリーポイントが明確な分、相場の状況を読んで負けやすい所ではエントリーを避ける、勝ちやすい所だけで仕掛けるフィルタリングが重要になってきます。
エントリー&エグジットそのものよりも、フィルタリングの方でエッジが生まれる方の手法だね。
フィルタリングのためのアイディア
シンプルなブレイクアウトルールの勝率を上げるためのフィルタリングとして考えるのは、トレンドです。
トレンド方向にブレイクする方が、トレンドとは逆方向よりもブレイクしやすいですからね。
そこでトレンド方向を見てフィルタリングするアイディアをまとめます。
波形を意識する
相場は波を描いて上下します。
上昇の波を描いている時に特定の期間の高値をブレイクしたらエントリーすると勝率は上がります。
インジケーターを利用する
波を描くのが苦手の人なら、移動平均線や一目均衡表などのインジケーターをフィルタリングするやり方をお勧めします。
インジケーターは無裁量でフィルタリングとして使えるので、システマチックにやりたい人に向いています。
トレンドが行きすぎたところでエントリーを避ける
トレンドに従ってブレイクを狙うのは重要なのですが、トレンドが行きすぎているところでブレイクを狙うのも危険です。
トレンドが進みすぎた最終局面では、少し高値を更新⇒下げる⇒また少し更新となることが少なくありません。
フィルタリングの条件を満たしているのに負けるのはこんな時です。
こういったところでのエントリーを避ける方法を考えておくと、よりブレイクアウトの精度は高まると思います。