あなたは勝てる手法でトレードしていますか?
勝てる手法??
トレード手法やシステムの優劣を付けるためには、それらから得られた成績について客観的に評価しなくてはいけません。そこから、本当に勝てるかどうかを判断するのです。
単に勝率が高いからという理由だけでその手法を採用してはいけないのです。
今回は、色々とある評価方法について考えていきましょう。
本記事では以下の5つの評価方法について解説していきます。
- 勝率
- 損益率
- 期待値
- プロフィットファクター
- R倍数評価
これらを知ることで、より多角的にトレード結果が分析できるようになると思います。
トレード手法を知ることも大事ですが、どれくらいのパフォーマンスなのかを評価する方法も知らないといけません。初心者の方は是非ご覧ください。
数字は大事です。
勝率
勝率とはズバリ、何%の確率で勝ちトレードになるのか?です。
勝率が高いということは、非常に優れた手法であると解釈されがちではありますが、一概にそうとは言えません。
この手法で勝つときは5pips取れる一方で、負けるときは100pipsマイナスになるとしたらどうでしょうか?
この手法で取引を続けていたら、トータルでマイナスになりそうなことは感覚的にわかりますね。
では、実際にどれくらいマイナスになるのか計算してみましょう。
この手法で10回取引した場合は、
勝率が9割なのにも関わらずトータルでマイナスです。
つまり、いくら勝率が高くても負けた時の損失額がそれ以上に大きければ、トータルでは利益とならないのです。
勝率が高いと気持ちがいいものですが、それが決して利益に結びつくとは限らないということを覚えておきましょう。
損益率
損益率とは、勝ちトレードの平均額(pips)÷負けトレードの平均額(pips)で示されるもので、簡単に言えば勝ったときと負けた時の金額(pips)の比率を見る指標です。
例えば勝ちトレード時の平均利益が2万円で、負けトレード時の平均損失が1万円ならば損益率は2.0となります。
この損益率も高いに越したことはありません。
しかし、どんなに損益率が高くても、勝率が低ければトータルでマイナスとなります。
まぁ、そうそう見つからないけど・・・。
期待値
期待値とは、1回あたりの取引でどれだけの損益(pips)が得られるのかを見る指標です。
計算式としては
期待値=(勝率×平均利益)-{(1-勝率)×平均損失}
で表されます。
この期待値こそがトレード手法を評価するための最もベーシックな判断材料です。
逆に期待値が負の値ならばそのトレード手法には負の優位性があるということが客観的にわかります。
つまりは、勝てる手法なら期待値は正で、その手法の精度が良くなるほど値が大きくなっていくわけです。
期待値の式からもわかるように、期待値は勝率と損益率の関数です。
期待値を上げるには、勝率か損益率のどちらか、もしくは両方を上げてやらなくてはいけません。
手法の検証でも、実際の取引結果を見るにしても、まずは出しておきたい数字がこの期待値だと言えます。
プロフィットファクター
プロフィットファクターとは、一定数のトレード結果における総利益と総損失の比率を示した指標です。
計算式は下のようになります。
プロフィットファクター=総利益(pips)÷総損失(pips)
上の式より、プロフィットファクターが大きければ大きいほど損失の割合が少ないトレードが出来るという意味になります。
例を出してみましょう。
この場合の純利益は50万円、プロフィットファクターは2.0となります。
この場合の純利益は50万円、プロフィットファクターは1.33となります。
1と2を比較するとどちらも100回の取引で50万円の純利益を出していますが、プロフィットファクターを比較すると1の方が高いです。
これは、1の取引の方が小さな損で大きな利益をもたらした結果です。
総損失が小さく、総利益が相対的に大きい=プロフィットファクターが高いということは積極的にリスクをとっていける戦略になります。
ですので、純利益(pips)が同じであっても、プロフィットファクターの値が大きいほうが良い手法であると言えます。
また、トータルで損失の出る戦略の場合はプロフィットファクターの値が1.0よりも小さくなります。
この場合はトレードするだけ損失を出す結果になりますので、実際には使えない戦略として却下する事ができます。
R倍数評価
R倍数評価は、バン・K・タープ博士の本に載っている評価方法です。
RとはRISKの頭文字を取ったもので、その名の通りリスクを主眼に手法やシステムを評価します。
プロフィットファクターと近い考え方なのですが、違いもあります。
例を出しながら解説していきます。(例の単位は円ですが、pipsにしても大丈夫です。)
この場合のR倍数は、トレードの利益である10,000円から初期リスクである5,000円を割って計算します。つまり、10,000円÷5,000円=2で、2Rとなります。
これも例1と同じ考えです。
トレード結果である-2,500円から初期リスクの5,000円を割って計算して
-2,500円÷5,000円=-0.5で、-0.5Rとなります。
上の2つの例のR倍数評価は、個々のトレードにおいて初期リスクの何倍の利益/損失を出したかを見ることができます。
数字が大きいほうが良いトレードで、勝ちトレードの場合R倍数はプラス、負けトレードの場合R倍数はマイナスになります。
複数回のトレードにおけるR倍数評価
例1.2では、個々のトレードにおけるR倍数評価でした。
では、複数回トレードしたときのR倍数評価を見てみましょう。
トータル:600,000円
平均損失:40,000円
1回のトレードの最大損失:50,000円
この場合は、純利益である600,000円から1回のトレードの最大損失である50,000円を割ってR倍数を求めます。(平均損失で割るやり方もあります)
そしてR倍数は600,000円pips÷50,000円=12Rとなります。
つまりは、50回のトレードで最大損失額の12倍の利益を出せたという結果です。
この12Rをトレード回数である50で割ると、期待R倍数値が算出されます。
つまりこの手法では、1回のトレード当たり最大損失額の0.24倍の利益が見込めるということになります。
タープ博士のトレード学校 ポジションサイジング入門によると、期待R倍数評価の目安として以下の様に書かれています。
期待R倍数 | 評価の目安 |
---|---|
0.16~0.19 | 質が悪いがトレードは可能 |
0.20~0.24 | 平均的 |
0.25~0.29 | 良い |
0.30~0.49 | 優秀 |
0.50~0.69 | とびきり優秀 |
0.70以上 | 聖杯 |
この例3の手法は平均的ということですね。
まぁ平均的とは言っても、トータルでプラスになるわけですからトレードする価値はある手法です。
R倍数評価はトレードの評価をするだけでなく、ポジションサイジングにも応用することができます。また、獲得pipsだけにとらわれずに、リスクも加味した形でトレードのパフォーマンスを測れるため、安定して利益を出し続けるためにも必要だと思います。
システム、裁量やシステム問わずに身につけておいて損はない評価方法です。
1回のトレードにおいて、トレードリスクの何割を期待値として狙えるかが明確になりますので。