
FXの経験が浅い初心者さんの場合、普通にトレードしていても、FXがどんな仕組みなのか、どういった経緯でFX取引が始まったのか・・・については知らない事が多いのではないでしょうか?
このような知識があるから勝てるようになる、というわけではありませんが、知っておいて損はありませんし、勝っている人は当然のように知っています。
というわけなので、FXの基本についておさらいしましょう。

外国為替証拠金取引は差金決済の取引
外国為替証拠金取引とは?
「外国為替証拠金取引」とは証拠金を担保にして外国為替の売買が行える金融商品です。
英語では「Foreign Exchange Margin Trading 」と言う名前で、日本ではFX取引と呼ばれています。
一般的に外国為替と言えば、海外に行った時に銀行や空港で日本円を現地の通貨に交換することを思い浮かべる方が 多いのではないでしょうか?
当然、これも立派な外国為替取引です。
しかし、FX取引とは大きな違いがあります。それは、現物をやりとりするか否かです。
銀行の窓口等で外国の通貨を購入する際は、実際に現物の通貨を手に入れることができます。
円をドルに両替したら、ドルが手に入りますよね。
しかし、FX取引ではドルやユーロを買ったとしても、お札が送られてくるわけではありません。
なぜなら、FX取引は「差金決済」にて行う証拠金取引だからです。
例えば、1ドル100円で1000ドル分を購入して、1ドル110円になって決済した場合、差額である10,000円(110円/ドル×1000ドル-100円/ドル×1000ドル)が証拠金にプラスされます。
逆に1ドルが90円になって決済した場合は、証拠金から10,000円差し引かれることになります。
差金決済取引だとレバレッジが使える!!
FX取引では、取引で生じた損益分のみが証拠金に加減されていきますので、実際に預けている証拠金よりも大きな金額でトレードすることができます。
これをレバレッジと呼び、日本のFX業者では最大で証拠金の25倍の金額で取引をする事が出来るのです。
例えばあるFX業者に口座を作って、そこに10万円証拠金として入金すれば、最大で250万円分の取引が可能となります。少ない資金で大きな金額の取引ができるFXは資金効率が高く、個人トレーダーからの人気の高い金融商品となっています。

レバレッジを有効に使えば、効率よく資金を増やすことができますし、お金が少なくても投資経験が積むことができます。
ただ、自分のお金以上の取引をするわけなので、それだけリスク管理も大切になりますよ。
日本におけるFX取引の歴史
FX取引の誕生
日本におけるFXの歴史は、1998年の橋本内閣時の外国為替及び外国貿易法の改訂によってスタートしました。いわゆる「日本版金融ビッグバン」の一環です。
この規制緩和によって海外との資本取引に関する規制が廃止&外国為替業務が完全に自由化され、それまではヘッジファンドや大手銀行しかできなかったFX取引に、個人のトレーダーも参入する事が出来るようになったのです。
こうやって始まったFX取引は、インターネットの爆発的な普及と相まって着実にトレーダーを増やしていきます。
インターネットの普及に伴う人気の拡大
2002年以降のユーロ円やポンド円の上昇トレンドによりFXの人気が高まるに連れて、商品先物系や証券系の取次業者が次々と参入し、FX業者(ブローカー)間の競争が拡大しました。
この競争の中で、それまで金融とは全く関係のなかった会社もFX業者として台頭し、様々なサービスを打ち出しました。
それを重く受け止めた金融庁は、2005年に金融先物取引法を改正します。
これにより、FX業者は金融庁への登録が必要となりました。
おかげで悪徳業者の多くは淘汰され、FXの健全性は着実に進歩していきます。
また2005年頃は円安バブルがピークに達しており、「FXはポンドやオーストラリアドルを買って放置しておけば簡単にお金が増やせる」という風潮すらありました。
実際にこれは事実で、円安が進めばロングポジションの含み益は増大し、その上スワップもついて2重の利益を出せるという今ではありえない夢のような状況でした。
100年に一度の混乱を経て
しかし、円安バブルも2007年のサブプライムショックにより終焉が近づくことなります。
そして次の年の2008年にはリーマンショックが到来し、完全に円安トレンドが終了しました。リスクオフの流れから一気に円高にトレンドが進んだのです。
それまで、外国通貨のロングポジションを持っておけば勝てると思い込んでいたリスク管理の甘い投資家やトレーダーたちは、再起不能になるほどの損失を出し、FX=危険という話が広がるようになります。
更にリーマンショック後の約1年間も、相場の値動き幅(ボラティリティ)が拡大したために、FXで大きな損失を出す人が増えました。
そんなこともあって、個人投資家を保護するという目的で、金融庁は2010年に全額信託保全の義務とレバレッジ規制を行います。
全額信託保全の義務とは、FX業者が顧客から預かった資産とFX業者自身の資産とを区別して管理することで、もし、FX業者が倒産しても顧客の資産は保護されることになります。
また、レバレッジ規制によって、それまではFX業者が自由に設定することのできたレバレッジが2010年には最大で50倍まで、2011年には25倍までになりました。
このため、絶対的な取引額が減り、体力の弱いFX業者が大手に吸収され、淘汰が進みました。
生き残ったFX業者は、より良いサービスを提供して、より一層激しい生存競争に挑んでいます。
2023年現在、FX取引が日本で解禁されて25年目になります。
この間、様々な法改正とインターネットやパソコンの発達によって、個人トレーダーでもプロと遜色のない環境で取引できるようになりました。
個人的には、どんな人でも参加できるFXは、これかもっと人気が高まると思っています。
これからどのようにトレーダーの環境は変わっていくのでしょうか?